
日本の自動車大手ホンダと日産自動車が、新たな形での協力体制を再検討していることが明らかになった。国内2位と3位の両社が提携を模索するのは、米国での関税対応や生産効率の向上といった課題を背景にしている。
日本経済新聞の報道によると、ホンダと日産は現在、日産が米ミシシッピ州キャントン工場でホンダブランドのピックアップトラックを生産する案を協議しているという。実現すれば、ホンダは日産の工場を活用して現地生産を行い、米国の自動車関税の影響を回避しつつ、多様化する現地市場のニーズに柔軟に対応できるようになる。
一方、長期的な業績不振と工場稼働率の低迷に直面している日産にとっても、ホンダとの協業は稼働率改善と収益性の確保につながるメリットがあるとされる。日経によれば、今年4月に発動された米国の25%自動車関税により、現地生産の重要性は一段と高まっており、日産は販売車両の45%、ホンダは32%を国外から輸入しているという。
また、ホンダは関税の影響で2025年度(2025年4月〜2026年3月)の営業利益が6,500億円、日産は最大で4,500億円減少する見込みと試算している。こうした厳しい経営環境の中で、両社の戦略的な歩み寄りが再び注目されている。
なお、ホンダと日産は昨年12月に持株会社設立を含む経営統合を視野に入れた交渉を開始したが、統合方式などで意見の隔たりが埋まらず、協議は中断された経緯がある。今回の新たな提携検討は、その延長線上にあるものとみられる。
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