
中国が北極での探査や航路開拓で相次いで成果を挙げていることを受け、米国の国家安全保障当局が重大な安全保障上の脅威とみて警戒を強めている。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が29日(現地時間)に報じた。
報道によると、今年夏、中国の研究用潜水艇(潜水艦)が北極海の海底探査に成功した。技術的な到達は、軍事面だけでなく商業面でも米国や同盟国に大きな意味を持つとみられている。
米国土安全保障省も先月の報告書で、2025年にアラスカ周辺の北極海域で活動した中国の軍用・研究用船舶の数が前例のない水準に達したと指摘した。米当局者は、北極における中国の存在感と影響力が増していることを示す新たな兆候だと受け止めている。
西側の海洋戦略の専門家の間では、中国が北極での移動能力を確立すれば、氷床下に眠る天然資源に関するデータを先行して確保し得るほか、欧州方面への商業航路の所要時間を大幅に短縮できるとの見方が出ている。
とりわけ懸念材料とされるのが、核兵器搭載型の潜水艦を米国など主要な標的により近い海域へ展開しやすくなる点だ。北大西洋条約機構(NATO)の欧州連合軍最高司令官(SACEUR)を務めるアレクサス・G・グリンケウィッチ米空軍大将は、中国側が攻撃的な姿勢を強めているとした上で、研究活動を掲げる船舶が軍事目的を覆い隠すために用いられるケースが少なくないとの認識を示した。
中国は自国を「近北極国家」と位置づけ、北極圏で米国やロシアに匹敵する影響力を得たい考えをにじませている。中国外務省は、北極での活動は合理的かつ合法であり、この地域の平和と安定、持続可能な発展の維持・促進に寄与していると主張している。
また中国は、北極圏を通る「北極シルクロード」が国際商取引における近道になると見込む。今年夏には北極周辺を経由してポーランドのグダニスク港へ貨物船を送ったとされ、スエズ運河経由に比べて所要時間が半分程度になるとの説明もある。中国側は今後、ロシアとの北極航路での貨物輸送量を増やし、特に液化天然ガス(LNG)の輸入を重視する方針を示している。
冷戦期の北極は、NATO加盟国と旧ソ連の対峙線に当たり、北極海域はロシアが大西洋と太平洋へ抜ける要衝だった。米国と同盟国は1990年代初頭まで監視と哨戒を続けてきたが、近年は再び北極での監視を強めている。北極圏を経由すれば相手領域に最短距離で接近できるため、米ロ両国の核潜水艦が北極圏で訓練する事例も増えているという。
米国と同盟国は、中国も数年以内に武装した潜水艦を北極圏へ投入し得ると見ている。中国はすでに軍用にも転用可能な水上船舶を北極圏で運用し、砕氷船隊の拡充も進めているとされる。これに対し米側も、北極での対応能力を高める措置を講じている。
さらに中国とロシアの連携も強まっている。昨年には両国の軍用機がアラスカ周辺で初めて共同の偵察飛行を行い、ロシアの空軍基地から中国の長距離爆撃機が発進したと報じられている。北極を舞台にした中ロの協調が、米国にとって新たな警戒要因になっている。
















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