
イギリスのメディア「ザ・タイムズ」は29日(現地時間)、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「技術嫌悪」ともいえる姿勢が、ロシアの人工知能(AI)分野における競争力の低下につながっていると指摘した。ザ・タイムズは、「ロシアは、旧ソ連時代には宇宙開発など科学技術を重視し、世界初の宇宙飛行士を輩出した国である一方、近年のAI分野ではルクセンブルクよりも後れを取っている」と評価した。
同紙によると、プーチン大統領はスマートフォンを使わず、インターネットの利用もまれで、ペンと紙、固定電話を好んでいるという。また「技術嫌悪者が率いる国が、AI開発競争で後れを取るのは驚くことではない」と述べた。実際、アメリカのスタンフォード大学が昨年11月に発表した36カ国のAI産業競争力比較では、ロシアは総合28位にとどまった。アメリカ・中国・インドはそれぞれ1~3位を占めたのに比べ、ロシアはルクセンブルクやベルギー、アイルランドなどの小規模国家よりも低い順位であることが明らかになった。この分析には、研究開発(R&D)投資額や人材確保レベルなどが反映されている。
時価総額基準の世界100大テクノロジー企業にロシア企業は含まれておらず、AI分野の世界トップ200研究機関ランキングにもロシアの大学は入っていないとザ・タイムズは伝えた。また、昨年11月モスクワで公開されたロシア初のAI人型ロボットが、ステージに上がるや否や倒れた事例を挙げ、ロシアの技術的遅れを象徴する場面だと紹介した。
ロシアでは、インターネットやデジタル革新が政権の安定を脅かすという見方が根強いとも指摘されている。ザ・タイムズによると、プーチン大統領はかつてインターネットを「CIAの計画」と呼んだことがあり、現在ロシアではInstagram・YouTube・Facebook・X・ChatGPTなどが禁止されているという。ヨーロッパ分析戦略センター(CASE)の共同創設者で、経済学者のウラジスラフ・イノゼムツェフ氏は「ロシアではインターネットの使用が贅沢な印象になりつつあり、政府がデジタル技術の進歩に反対する文化を助長している」と指摘した。
AI産業の中核インフラである画像処理半導体(GPU)の確保でも大きく出遅れているとされている。アメリカの政府系放送「ラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE)」によると、2022年2月のウクライナ侵攻以降、ロシア国営金融機関ズベルバンクが確保できたGPUは約9,000基にとどまるという。これはマイクロソフトが2024年の1年間で購入したGPU約50万基と比べると、極めて大きな差がある。一方でロシアは、戦闘用ドローンの自動操縦や偽映像の制作など、当局が有用だと判断した分野でAIの活用を積極的に進めているとザ・タイムズは伝えた。
イノゼムツェフ氏は、AIが世界経済の構造を大きく変化させる場合、ロシアの中国依存が長期的にさらに深まる可能性があると分析した。ただし、プーチン大統領の最大の関心は経済成長ではなく、地政学的地位と政治的安定にあるとの見方を示している。














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