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「関税収入3倍の裏側」…トランプ関税1年で見えた“理想と現実”

竹内智子 アクセス  

引用:Newsis
引用:Newsis

ドナルド・トランプ米大統領が就任から1年間に進めた関税政策は、物価を押し上げた一方で、製造業の回復や雇用増にはつながりにくかったと、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)が2日(現地時間)に報じた。

トランプ大統領は、関税率を1932年以来の高水準となる平均17%まで引き上げ、産業を再生して雇用を国内へ呼び戻すとの目標を掲げてきた。

NYTによると、関税収入の増加や貿易赤字の縮小といった変化は確認されたものの、負担の大半は米企業が背負い、製造業を大きく押し上げる効果は限定的だったという。

税収が急増

関税政策で目立った影響の一つとして、政府が関税などで得る歳入の拡大が挙げられる。

米政府は昨年、関税や税、手数料を合わせて2,870億ドル(約44兆6,000億円)を徴収し、前年差でおよそ3倍に膨らんだとされる。

年間の所得税収2兆ドル(約311兆円)と比べれば規模は小さいものの、国防費や社会保障費、政府債務の利払いなどに充て得る新たな財源になり得る。

ただし、納付の中心は輸入者で、その多くが米企業だ。政権側は外国企業が負担すると主張してきたが、経済学者の間では、実際の負担は米企業と消費者に広く及んでいるとの見方が強い。

貿易赤字は縮小後に反発

トランプ大統領は貿易赤字の削減を重視してきた。ここ数か月は赤字が大きく縮小し、昨年10月には2009年以降で最も低い水準になったとNYTは伝える。

一方、11月には再び増加に転じた。就任直後には、関税を避ける目的で輸入が前倒しされ、赤字が急拡大した経緯もあったという。

1月から11月の累計では、貿易赤字は前年同期比でなお4.1%増となっている。

製造業の伸びは分野で差

製造業の雇用拡大は、政権が狙ったほど進んでいないとされる。製造業の雇用は昨年を通じて減少傾向が続いた。

支持層の一部は、工場新設には時間を要するとして、今後の反転を見込む。足元では産業生産や設備投資が増え、関税が追い風になるとの期待もある。

ただ、産業生産の押し上げに寄与したのは、航空宇宙や電子など、相対的に関税負担が軽い分野が中心だという。

高関税の影響を受けやすい自動車や自動車部品では、昨年の生産が落ち込んだ。関税により、工場運営に必要な金属や機械のコストが上がり、かえって負担になっているとの声も出ている。

新規工場建設への投資はパンデミック前を上回る水準にある一方、半導体や電池工場への補助金が建設を後押ししていたジョー・バイデン前政権末期と比べると勢いは弱まったとも指摘される。

他方で、人工知能向けデータセンター建設の拡大や、新規設備投資費用を税控除しやすくする税制措置が、投資を押し上げた側面もある。

物価は上昇、上げ幅は想定より抑制

関税は輸入品価格を押し上げた。とりわけ4月に包括的な対外関税が表明された後、価格は上向き、直前までの下落傾向が反転したという。

もっとも、価格の上昇幅は当初の想定より小さかったとNYTはみる。企業側が顧客離れを警戒し、値上げに慎重だったためだとされる。

インフレについては、サービス分野の上昇が落ち着くにつれて改善が進んだが、経済学者の間では、関税がなければさらに状況は良かったとの見立てもある。ある試算では、8月の消費者物価指数は2.9%だったものの、関税がなければ2.2%にとどまった可能性があるという。

こうした体感を背景に、高い物価への不安は根強い。先月、NYTとシエナ大学が実施した世論調査では、有権者の54%が関税政策に反対し、51%が政権の政策で生活が苦しくなったと答えた。

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