
金正恩北朝鮮国務委員長が、祖父の金日成主席が用いていた「主席」の職名を受け継ぐ可能性があるとの観測が出ている。
米国の北朝鮮専門メディア「38ノース」は3日(現地時間)、近く開かれるとみられる朝鮮労働党第9回党大会と、その後の最高人民会議を契機に、主席制が復活する可能性があると見通した。
38ノースは、北朝鮮で2024年9月以降、金正恩国務委員長に対して「国家元首」という表現が使われるようになった点を重視している。
具体例として、金与正朝鮮労働党副部長が2024年9月の談話で「国家元首の直属独立情報機関」と表現したことを挙げた。さらに、昨年9月の最高人民会議の期間中には、北朝鮮メディアが国家元首が重要な演説を行ったと報じたという。
北朝鮮が指導者の職名を極めて慎重に扱ってきたことを踏まえると、こうした呼称の変化は単なる言い回しではなく、制度変更を予告するサインと受け止められると38ノースは分析している。
とりわけ「国家元首」という表現は、金日成主席が1994年に死去するまで務めた「共和国主席」の憲法上の定義と一致する。北朝鮮が1972年に改正した憲法第89条は、共和国主席を国家元首と規定している。
ただ、北朝鮮は金日成主席の死後にあたる1998年9月の最高人民会議で憲法を修正し、主席制を廃止した。金日成主席から権力を引き継いだ金正日も主席には就かず、国防委員長兼朝鮮労働党総書記として統治を進めた。
金正恩国務委員長の職名である「国務委員長」については、2023年に公開された北朝鮮憲法が「共和国の最高領導者」と位置付けている。一方で北朝鮮は、2024年10月と2025年1月の最高人民会議で憲法を改正したものの、具体的な条文の改正内容は公表していない。
敏感な案件は一定期間明らかにしない例が多い点を考え合わせると、金正恩国務委員長の法的地位の変化がすでに憲法へ反映された可能性もあるとの指摘が出ている。
金正恩国務委員長に「国家元首」という呼称を用いる動きは、権力基盤の強化や個人崇拝の進行を映すものだともみられる。仮に主席制が復活し、金正恩国務委員長が主席に就けば、北朝鮮の政策決定の仕組みや後継構図にも影響が及ぶ可能性がある。
その場合、国務委員会の存在感が増し、党政治局会議の役割が相対的に小さくなるとの見方も示されている。













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