
アメリカがイランの低価格な自爆ドローンに対し、その約200倍の価格の迎撃ミサイルで対抗する消耗戦が本格化している。イランの低コスト自爆ドローン攻撃が、アメリカと湾岸地域の同盟国が保有する高価な防空網を圧迫し、兵器の在庫を急速に消耗させる状況となっている。この傾向が続けば、イランの兵器庫が先に底を突くのか、それとも膨れ上がる戦費や反戦世論の高まりによってアメリカが先に後退するのかが、戦局を左右するとの見方も出ている。
2日(現地時間)ブルームバーグ通信は、イランが「シャヘド136」使い捨て自爆ドローンや小型巡航ミサイルを用いて、中東全域の主要目標への攻撃を続けていると報じた。イランのドローンは、先月28日にアメリカとイスラエルが大規模空爆を開始して以降、米軍基地や石油施設、民間建物などを集中的に狙っている。
これに対し、アメリカ製パトリオット防空ミサイル(PAC-3)は、イランのシャヘドドローンや弾道ミサイルを90%以上迎撃し、その性能を証明している。
しかし、2万ドル(約315万円)のドローンを撃墜するために、400万ドル(約6億3,000万円)の迎撃ミサイルを発射しなければならないという「コストの非対称性」は大きなジレンマとなっている。パトリオットが高い命中率を誇るとしても、防空側が高価な迎撃ミサイルを急速に消費するほど、アメリカの戦争継続能力は弱まらざるを得ない。これはすでにウクライナ戦争でも確認された現象だ。
ヘンリー・L・スティムソン・センターのケリー・グリエコ上級研究員は「イランにとって消耗戦戦略は作戦上、合理的な側面がある」とし、「防御側の迎撃ミサイルを枯渇させ、湾岸諸国の政治的意志を弱めることで、アメリカとイスラエルに軍事作戦の停止を迫る狙いがある」と分析した。
特にドナルド・トランプ米大統領は4週間にわたり攻撃を継続できると強気の姿勢を示しているが、米軍がそれほど長期間作戦を続けるのに十分な弾薬を中東に配備していない可能性が高いと指摘されている。
湾岸地域ではすでに在庫枯渇への懸念が現実味を帯びている。現在の消費ペースが続けば、カタールが保有するパトリオット迎撃ミサイルの在庫も4日ほどで底を突く可能性があるという。カタール政府は水面下で早期終戦を求めていると伝えられている。
また、再補給の速度も問題となっている。アメリカと中東地域の同盟国はロッキード・マーティン製のパトリオット防空システムに大きく依存しているが、同社の昨年のPAC-3生産量は約600発にとどまった。今回の戦争勃発以降、中東地域ではすでに数千発の迎撃ミサイルが発射されたと推定されている。
一方、アメリカとイスラエルが軍事資産を継続的に破壊しているにもかかわらず、イランの攻撃能力がいつ枯渇するのかは依然として不透明だ。
昨年6月のイスラエルとの「12日間戦争」の時点で、イランは約2000発の弾道ミサイルを保有していたと推定されているが、現在はそれを大きく上回る数のシャヘドドローンを備蓄しているとみられている。
またイランは、シャヘド系ドローンを1日最大400機生産できる能力も持つとされる。
ブルームバーグ・エコノミクスの防衛担当ベッカ・ワッサー氏は「今年の衝突開始以降、イランは1200発以上の発射体を発射しており、その大半はシャヘドドローンとみられる」とし、「より破壊力の大きい弾道ミサイルは継続的な攻撃のため温存している可能性がある」と指摘した。
アメリカ国内の世論もトランプ政権にとって重荷となっている。野党である民主党で反戦世論が強いだけでなく、孤立主義的な「アメリカ・ファースト」を掲げる支持層MAGAの間でも、海外戦争への関与に反発する声が広がり、支持離れの兆しが見られる。
カーネギー国際平和財団のアンキット・パンダ上級研究員は「最終的にはイランのミサイルやドローンの在庫は枯渇するだろうが、イラン政権そのものは混乱の中でも存続する可能性が高い」とし、今後の戦局は消耗戦と世論戦をより長く耐えた側が優位に立つ可能性を示唆した。
ただし防御面では、イランはすでに有効な対抗手段をほとんど失っている。戦争開始直後、ロシア製S-300を含む地対空防空網が破壊されたことで、アメリカ軍とイスラエル軍の戦闘機はほぼ制約なくイラン領空を飛行している。
また、アメリカは今回の作戦でステルス戦闘機や巡航ミサイルに加え、イラン製ドローンを模倣した「低コスト使い捨て自爆ドローン」を初めて実戦投入するなど、低コスト戦術を積極的に導入している点も新たな変数となっている。















コメント0