米専門家、核戦力拡大や移動式発射台の増強を指摘
防空網突破能力の強化も試みる可能性「米軍増強なら先制攻撃の可能性も」

米国とイスラエルによるイラン攻撃を注視する北朝鮮が、核戦力の強化や移動式ミサイル発射台の保護強化など8つの軍事的教訓を得る可能性があると米国の大量破壊兵器(WMD)専門家のヴァン・ヴァン・ディーペン氏が指摘した。
ディーペン氏は16日(現地時間)、米国の北朝鮮専門メディアである38ノースに寄稿した「イラン戦争が北朝鮮の核・ミサイル戦力に与える8つの教訓」と題する論考でこのような見方を示した。
ディーペン氏はまず、北朝鮮の立場からすれば核兵器は実質的な安全保障手段であることを改めて示したと分析した。多くの専門家が今回のイラン戦争を通じて北朝鮮の核兵器が米国の攻撃を抑止する上で極めて大きな価値を持つと評価しているという。また、金正恩総書記が核兵器を交渉のテーブルに載せないと公言してきた立場を裏付けるものだとの指摘も広く出ているとした。
ディーペン氏は「北朝鮮の核戦力はイランが明らかに失敗した核ヘッジ(リスク分散)戦略よりも、はるかに強力な防護手段と認識されるだろう」と述べた。
北朝鮮が得る第二の教訓として、米軍による軍事力増強が攻撃の前兆となり得る点を挙げた。米国はイラン攻撃前の約1か月間、世界各地から海空軍の戦力を中東に集結させており、昨年6月のイラン空爆や今年1月のベネズエラ作戦でも同様の動きが見られたという。
また、北朝鮮が10日に発表した声明の通り、イランの事例は米軍の地域内増強が行われた場合、たとえ訓練目的であっても攻撃の潜在的前兆とみなす北朝鮮の傾向をさらに強める可能性があると指摘した。
その結果、米軍の戦力増強に対する対応として北朝鮮が戦力態勢を引き上げ、それが相互に強化の悪循環に陥れば不安定性が高まり、北朝鮮が米軍の集結完了前に先制攻撃に踏み切る可能性もあると分析した。
斬首作戦への対策を更新する可能性
ディーペン氏は第三の教訓として、米軍が指導部を狙う斬首作戦を試みる可能性を想定し、北朝鮮が指導部が攻撃を受けた場合でも軍事作戦を継続できる非常計画を更新している可能性があると指摘した。
ディーペン氏は2016年以降、韓国が平壌の核兵器保有を相殺する手段として斬首作戦を実行する可能性を公に言及してきたことから、北朝鮮が対策をさらに強化しただろうとし、北朝鮮が斬首作戦を阻止するための「先制攻撃」や核報復を公言しているとの見方を示した。
第四の教訓として、北朝鮮は制空権の喪失を覚悟する必要があると指摘した。ロシア製の高性能防空システムを保有するイランが昨年6月と今年の攻撃でほぼ完全に制空権を失ったことから、北朝鮮は防空能力が十分でない状況でも軍事作戦を遂行する必要性を認識した可能性があるという。
このため北朝鮮は、日本や韓国の空軍基地を攻撃して航空作戦を抑制する能力や、電子戦によって空中投下兵器の精度を低下させる手段、さらに偽装・隠蔽・欺瞞・妨害や強化施設を活用して航空攻撃から戦力を保護する対策に引き続き重点を置く可能性があるとディーペン氏は予測した。
第五の教訓としては、道路機動型ミサイルの保護強化が挙げられる。北朝鮮はすでに弾道ミサイルや巡航ミサイル戦力の保護のため道路機動型発射台に大きく依存しており、制空権を失っても高い生存性を保ってきたと指摘した。
ただし、イスラエルと米国がイランの道路機動型弾道・巡航ミサイル発射台数百基を破壊したと主張していることを踏まえると、北朝鮮が運用方法を再検討する可能性が高いと分析した。地下ミサイル基地への攻撃が成功したとみられる事例を踏まえ、小規模な地下バンカーをさらに多数建設するか活用する可能性があるとした。
また、金正恩総書記が強調しているように、偽装した機動発射台をさらに増やし、保有数も拡大する可能性があるとディーペン氏は予測した。
ミサイルの生存性高め報復能力強化へ
こうした動きにより、米軍の戦力増強が進んだ場合、北朝鮮が早い段階で機動発射台を前線に展開して生存性を高めようとする可能性があるという。その結果、米国や韓国には北朝鮮が事態の拡大を図っているとの認識を与える可能性があるとした。
第六の教訓として、日米韓のミサイル防衛が非常に効果的である可能性を北朝鮮が認識する点を挙げた。北朝鮮はすでに、防空網を突破するための低軌道短距離弾道ミサイルや早期分離子弾の能力を強化してきたと指摘した。
さらに、北朝鮮が日米韓のミサイル防衛能力を圧倒するためにレーダーや迎撃ミサイル発射装置を優先的に攻撃し、弾道ミサイルに加えて巡航ミサイルやドローンも攻撃に投入する可能性があると予想した。
第七の教訓として、北朝鮮がミサイル備蓄を大幅に増やそうとする可能性を挙げた。北朝鮮はすでに固体燃料ミサイルや道路機動型発射台の生産能力を強化し、短距離ミサイル発射台の配備を誇示してきたという。
ディーペン氏は北朝鮮が日米韓のミサイル防衛を突破するためミサイル備蓄を増やし、戦争の長期化を見据えて報復能力を強化しようとする可能性があるとみている。
北朝鮮のロシア向けミサイル支援が減少する可能性も
ディーペン氏はまた、これまでロシアにミサイルを供給してきた北朝鮮がミサイル備蓄を増やすためどのような選択をするのか注目されるとも指摘した。
第八の教訓として、北朝鮮が低コストのドローンの活用と対策を強化する可能性を挙げた。北朝鮮はすでにウクライナ戦争への関与を通じ、小型戦術ドローンやイラン製「シャヘド」のような攻撃型ドローンの重要性を認識しているという。
ディーペン氏は北朝鮮がイラン戦争を教訓として攻撃用ドローンの備蓄を大幅に増やし、日米韓の防空網をかく乱する可能性があると予測した。また、日米韓が北朝鮮のドローン脅威への対策を強化していることから、北朝鮮側もドローン防御能力を強化する可能性があると分析した。















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