空爆下でも崩れない生活基盤 イランを支える40年の「抵抗経済」
原油高が追い風、鉄鋼など非石油輸出でも補完可能
戦争長期化ならホルムズ海峡封鎖で食料危機の懸念

イランが西側諸国の制裁に対抗して40年以上かけて築いてきた「抵抗経済」が、米国とイスラエルによる激しい攻撃のなかで注目を集めている。
29日(現地時間)のフィナンシャル・タイムズによると、イランは医薬品や自動車部品、白物家電など、輸入が難しい品目の国産化を進めてきた。数百基に上る発電所も全国に分散配置されており、電力網が一度に破壊されにくい構造になっている。
米国のドナルド・トランプ大統領の第1次政権期には、制裁をかいくぐる代替貿易ルートを整え、輸入代替も加速させた。なかでも、食料や機械類を対価として石油を輸出する物々交換方式が活用されてきた。
こうした「抵抗経済」は、制裁下で対外依存を最小限に抑え、自給自足を極力高めながら生き残りを図る戦略を指す。米国とイスラエルの無差別空爆が1か月続くなかでも、イランがなお一定の持久力を保っている背景の一つとみられている。
足元では、戦争に伴う原油高がむしろイランに追い風となっている。国際原油価格の指標であるブレント原油が1バレル100ドル(約1万6,000円)を上回るなか、イランは石油輸出によって1日1億4,000万ドル(約223億5,000万円)を得ていると推計される。
石油以外にも収入源はある。代表的な非石油輸出品として挙げられるのが鉄鋼だ。
英国のシンクタンク、ボース・アンド・バザール財団のエスファンディヤール・バトマンゲリジ代表は、イランが前会計年度に70億ドル(約1兆1,200億円)相当の鉄鋼製品を輸出できる軌道に乗ったと説明した。さらに、金属や化学製品、食品などの輸出でも月20億ドル(約3,200億円)を稼ぎ、石油収入を補完できると述べた。
イランは今回の戦争以前から深刻な経済危機に見舞われ、大規模な反政府デモが起きるなど厳しい状況に置かれていた。ただ、同国の元経済当局者は、経済への圧力が続いても、戦争が1年間続く程度であれば持ちこたえられる回復力はあるとの見方を示した。
バトマンゲリジ代表は、今回の戦争によってイラン経済が打撃を受けるのは避けられないとしつつ、当局にとっての主な課題は平時の正常な経済運営ではないと指摘した。戦時経済を支えるためであれば、民間経済の領域をさらに取り込める余地が大きいという。
実際、イランはホルムズ海峡を通る商業船舶がほとんどない状況でも、陸路による貿易を続け、必需品不足は起きていないと主張している。スーパーマーケットの棚も空になっておらず、生鮮食品の確保も難しくない状況だとしている。
イスラエルが首都テヘランの石油貯蔵施設を空爆したことで、一時的に燃料不足が生じたものの、当局がガソリンの配給制を一度実施した後は、供給が安定した。
ただ、戦争が長期化した場合は、ホルムズ海峡封鎖の余波で食料危機が起きる可能性も指摘されている。
イラン当局は、国内で食料のおよそ80%を生産していると説明しているが、農業・工業用の油糧種子や小麦、コメ、飼料用大豆、トウモロコシ、そのほかの穀物の相当量は輸入に頼っている。これらの品目は、今回の戦争で打撃を受けたアラブ首長国連邦(UAE)を経由して輸送される。
また、神政体制を支えてきた燃料貯蔵施設やガス関連施設、銀行などの国内インフラも、2月28日の開戦以降、大きな打撃を受けた。イランメディアによると、27日には主要製鉄所2か所が爆撃で被害を受けたという。
とりわけ、トランプ大統領がイランの発電所への攻撃に踏み切れば、経済状況は急速に悪化するとの見方が出ている。













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