
一見すると、中国の習近平国家主席と米国のドナルド・トランプ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談の様子は、非常によく似ているといえる。だが、米ロ両首脳の中国訪問は、中国と米国、中国とロシアの関係がいかに異なるかを浮き彫りにした。
トランプ大統領の中国訪問を通じて中国は、米国との関係を安定させようとした一方、プーチン大統領の訪問では、ロシアとの戦略的なパートナーシップを深めることに重点が置かれた。
習主席は、トランプ大統領の訪問中、儀礼的な歓待を前面に押し出した。コンサルティング会社アジア・グループの中華圏担当パートナー、ジョージ・チェン氏は「習主席は、カメラの前でVIPのように扱われ、敬意を払われることをトランプ氏が重視していると分かっていた」と述べ、中国はトランプ氏に敬意を払われていると感じさせたと語った。
チェン氏は続けて、プーチン大統領の訪中では、習主席は実質的な関係へと転じたと指摘した。チェン氏は「習主席は友好条約を再確認し、新たなエネルギー取引に署名したうえで、『無制限の』パートナーシップを改めて強調した」と付け加えた。
両者の類似点と相違点は、両首脳の日程にも表れた。まず、トランプ大統領は3日間にわたって中国に滞在し、プーチン大統領は2日間滞在した。
トランプ大統領とプーチン大統領は、ともに天安門広場で、儀仗(ぎじょう)隊や軍楽隊、旗を振る子どもたちの歓迎を受けた。また、2人とも天安門広場の隣にある人民大会堂で、習主席と非公開の会談を行った。
トランプ大統領は天壇(てんだん)を非公開で見学し、中南海にある皇室の庭園を散策した。一方、プーチン大統領は習主席と人民大会堂で多くの時間を過ごし、中ロ関係に関する写真展を見て回った後、お茶を飲んだ。
しかし、最も明確な違いはメッセージにあった。
習主席はトランプ大統領との会談で、数カ月にわたる緊張と、世界最大の経済大国どうしの貿易戦争を経て、比較的安定した関係を維持する必要性に重点を置いた。習主席はトランプ大統領に対し、中国を競争相手ではなくパートナーとして見るよう促し、両首脳は「戦略的な安定という、建設的な米中関係」に向けて努力することで合意した。
これとは対照的に、プーチン大統領との会談では、両国間の戦略的にも経済的にも重要な、長年のパートナーシップを強化し、深めようとした。
米国と中国が今なお貿易関係の安定化に努めている一方、ロシアと中国は欠かせないパートナーとしての関係を改めて確認した。プーチン大統領は、この関係の「原動力」はエネルギー分野、とりわけ石油とガスの分野にあると述べた。

習主席はロシアとの間でのみ、貿易や技術、メディア交流など40以上の公式な協定を締結した。習主席とプーチン大統領はまた、ロシアと中国を「多極化した世界における重要な権力の中心地」と位置付ける共同声明に署名した。一方、トランプ大統領と習主席は今回の訪問で、共同声明への署名も協定の締結も行わなかった。トランプ大統領が中国を去った後になって、ようやく両国は複数の協定の詳細を発表し、米国は、中国が年間170億ドル(約2兆7,100億円)規模の米国産農産物を購入し、ボーイングのジェット機200機を購入することで合意したと明らかにした。
ベルリンのメルカトル中国研究所のクラウス・ソン分析官は「中国とロシアはより多くの合意に至ったが、中国が米国との間でどのような合意に達したのかは明確ではない」と述べた。
一方、アジア・ソサエティー政策研究所の中国分析センターで中国の国家安全保障・外交政策を担当する上級研究員のライル・モリス氏は、習主席とプーチン大統領の会談で最も驚くべき点は、ロシアからモンゴルを経由して中国にガスを送る「シベリアの力2」のガスパイプライン計画について、正式な契約が締結されていないとみられることだとし、「これはロシアとプーチン大統領にとって大きな挫折だ」と述べた。
プーチン大統領とトランプ大統領は、台湾問題について異なる立場を取っている。ロシアは台湾問題について中国と緊密に協力していると主張している。しかし米国は、台湾に対して意図的に曖昧な立場を維持し、主要な非公式の支援者であり武器の提供者としての役割を果たしている。
習主席はトランプ大統領に対し、台湾が米中関係で最も重要な問題であることを明確に伝え、台湾と米国の関係への対応を誤れば、米中間の対立につながりかねないと警告した。
トランプ大統領は今回の訪問では台湾について公に言及せず、米国へ戻る途中で、台湾への武器販売を中国との「非常に良い交渉のカード」と述べ、台湾内に不安を引き起こした。
一方、ロシアは台湾問題について中国と何ら意見の相違はなかった。習主席とプーチン大統領が署名した共同声明で、ロシアは「いかなる形であれ」台湾の独立に反対する立場を改めて表明し、主権を守り「国家の統一」を実現するための中国の努力を支持すると表明した。
中国とロシアはまた、台湾をめぐる日本と中国の関係の冷え込みを背景に、日本の「急激な再軍備」に対する懸念も示した。













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