
米国とイランが了解覚書(MOU)に電子署名したにもかかわらず、合意文書が公開されていないなか、その詳細が米メディアによって相次いで報じられている。ブルームバーグ通信が入手した草案によると、MOU署名直後からイラン産原油の輸出に対する制裁が免除され、イランの再建と経済発展に向けた少なくとも3,000億ドル(約48兆1,000億円)規模の基金を創設する案が盛り込まれていた。この文書には「ホルムズ海峡の60日間無料通行」や「凍結されたイラン資金の先行解除」など、敏感な内容は含まれていない。
ブルームバーグ通信は16日、消息筋の話として、「米国がフランス・エビアンで開かれている主要7か国(G7)首脳会議で、MOUの文案を加盟国に回覧している」と報じた。そのうえで、14項目で構成されたMOU草案を公開した。
最も目を引くのは、第10項に記されたイラン産原油の輸出制裁免除だ。文書には「米財務省はMOU署名直後から制裁解除の日まで、イラン産原油、石油化学製品およびその派生品の輸出と、関連する銀行、保険、輸送などのサービスに対する制裁を免除する」と記されている。米政府高官は15日の電話ブリーフィングで「イランが約束を守る意思を示す小さなジェスチャーを見せるなら、我々も初期段階でそれに見合う小さなジェスチャーを示す」と述べており、石油制裁の免除はこの発言を指すものとみられる。
3,000億ドル規模のイラン再建基金を創設する案も、第6項に盛り込まれている。文書は「米国は域内のパートナー国とともに、イランの再建と経済発展に向けた包括的な計画を策定し、そのために少なくとも3,000億ドルの財源を確保することを約束する」としたうえで、「最終合意の一環として、この計画の実施方法を60日以内に整える」と明らかにした。これに関連し、ロイター通信も消息筋を引用し、基金には米政府の税金が一切投入されず、すでに半分を超える金額について企業側が出資を約束していると報じた。ロイター通信によると、出資企業には日本、韓国、シンガポール、米国の企業などが含まれる。
米国とイランの立場が対立していた「60日間のホルムズ海峡無料通行」という文言は、ブルームバーグ通信が入手した草案には盛り込まれていなかった。草案には「米国はMOU署名直後に海上封鎖を解除し、イランに対するいかなる干渉や妨害も禁止する」と記されている。さらに「イランは商船の運航が30日以内に戦争前の水準へ戻るよう、直ちに措置を講じる」とだけ明記されていた。
これに先立ち、イラン側が報じた草案には、イランの凍結資産120億ドル(約1兆9,000億円)がMOU署名直後に解除されるという趣旨の内容が含まれていた。しかし、ブルームバーグ通信の報道に該当する内容はない。代わりに、イランの凍結資産解除について具体的な時期を示さず、「米国が最終合意に向けた交渉の進展状況を考慮し、凍結資産を解除してイランが全額使用できるようにする」とだけ記されている。
双方が電子署名したにもかかわらず合意文書が公開されていないことに対し、米保守陣営の不満が高まっている。こうしたなか、米国のドナルド・トランプ大統領はこの日、アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領との会談で、「文書を公開するだけでなく、おそらく記者会見を開き、記者たちに一語一語読み上げることになる」と述べた。
米保守陣営の反発は続いている。米国のニッキー・ヘイリー元国連大使は、米国がイラン産原油の輸出制裁を免除するとのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を取り上げ、「これが事実なら、イランが勝ったということだ」と批判した。さらに「MOU初日から制裁緩和があってはならない」と「X(旧ツイッター)」に投稿した。
















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