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「影の日本銀行総裁」となったベッセント氏…日本の利上げをめぐる“舞台裏”

竹内智子 アクセス  

出典:EPA通信
出典:EPA通信

「ベッセント米財務長官に屈した高市首相」

日本銀行(BOJ)が16日、31年ぶりに基準金利を1%に引き上げた背景には、市場と物価だけでなく、米国の強い圧力も作用したという分析が出てきた。スコット・ベッセント米財務長官が政府と日銀に対して事実上金利引き上げを促した事実が明らかになり、金融政策を巡る日米間の見えない力の競り合いに関心が集まっている。

17日、日本経済新聞は、ベッセント長官が5月11日の日本訪問時に片山さつき財務大臣に「今金利を上げる方が将来上げなければならない金利引き上げ幅を減らせる」と述べたと報じた。日銀が金利引き上げを先延ばしにしてインフレが制御不能な状態に陥った場合、結局はより大きな幅の引き締めに乗り出さなければならず、これは経済と金融市場により大きな衝撃を与える可能性があるという懸念を伝えたものだ。

政府関係者は、ベッセント長官が当時金利引き上げに消極的な高市早苗政権とそれを意識する日銀に事実上警告メッセージを送ったと解釈している。

ベッセント長官はその後、フランス・パリで開催された国際会議の期間中に日銀の植田和男総裁とも会った。彼は会合直後にSNSに「植田総裁が日本の金融政策を成功裏に導くと確信している」と投稿した。日本財務省内部ではこれを「金利引き上げをためらう日銀の背中を押した」との評価が出ている。

ベッセント長官が日本の金利政策に敏感に反応する理由は、米国経済とも直結しているからだ。彼はこれまで日本の長期金利上昇がグローバル資金の日本回帰を引き起こし、結果的に米国国債の売却と米国金利上昇圧力を高める可能性があるという懸念を公に表明してきた。

実際、米国政府の動向を察知した高市政権内部でも変化がみられた。中東情勢の悪化で景気減速懸念が高まっていた4月まで、総理官邸内では金利引き上げ慎重論が優勢だった。しかし、5月22日に高市首相と植田総裁が3か月ぶりに会合した後、雰囲気が変わったとの評価が出ている。

政府の高位関係者は「世界的な流れを考慮すれば、日本も金利引き上げをこれ以上先延ばしにできないという認識が広がった」と述べた。実際、欧州中央銀行(ECB)は最近約3年ぶりに金利引き上げに踏み切り、米国連邦準備制度(Fed)内部でも追加の引き締め可能性に言及する声が高まっている。

結局、日銀は16日、金融政策決定会合で基準金利を1%に引き上げた。これは1995年以来最も高い水準だ。ただし、市場では今回の決定が日銀の独自の判断よりも米国と金融市場の圧力に押された結果だとの評価も少なくない。

米国経済調査機関のSGH Macro Advisorsは最近の報告書で「今やベッセント長官が事実上『影の日本銀行総裁』になった」との市場参加者の反応を紹介した。

しかし、日銀の悩みはこれからが始まりだという指摘も出ている。円安と物価上昇圧力は依然として続いており、市場はすでに次の金利引き上げ時期を見込んでいる。一方、高市政権は金利引き上げが家計や企業の資金調達コストを高める可能性があるため、依然として慎重な態度を維持している。

今回の金利引き上げにより、日銀は31年ぶりに正常化に向けた象徴的な一歩を踏み出したが、その裏には米国の圧力と政治の牽制、市場の要求が複雑に絡み合っていた。日銀が今後も独立性を維持し、追加の引き締めに乗り出せるかに関心が集まっている。

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