基準金利、31年ぶりに1%台に
日本銀行、物価上昇抑制へ本格始動
追加利上げを示唆したが、ペースには慎重姿勢
円高には結びつかず
日経平均は不確実性の解消で最高値更新

日本銀行(BOJ)が16日、政策金利を1.0%に引き上げたのは、景気減速懸念よりも物価上昇リスクが高まったと判断したためだ。中東情勢不安に伴う原油価格上昇と円安が企業の値上げを促し、物価が目標水準を上回る状態が固定化する恐れが金利引き上げの背景となった。
物価上昇リスクに重点
この日、植田和男総裁に代わって記者会見に臨んだ内田眞一副総裁は、企業間取引での価格転嫁が予想以上に速いペースで進んでおり、今後消費者物価全般に波及する可能性があると指摘した。基調的な物価上昇率が2%の物価安定目標を上回るリスクがあると述べた。
日銀は、これまで中東情勢が日本経済に与える影響を注視してきたが、政府のエネルギー支援策や企業の原材料調達先の多様化が進む中、景気下振れリスクは和らいだと判断した。内田副総裁は経済が大きく下振れするリスクは以前より低下したと評価した。
市場の関心は今後の追加利上げの有無に集中している。日銀はこの日の声明で、経済・物価・金融情勢に応じて政策金利を引き続き引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくと表明した。内田副総裁も基調的な物価上昇率が2%に近づいているものの、現在の金融環境はなお緩和的だとし、追加利上げの方針を再確認した。ただし、利上げの時期とペースについては中東情勢が経済と物価に与える影響を見極めながら判断すると述べた。
日銀はこの日、国債買い入れ縮小計画も見直した。現在、四半期ごとに2,000億円ずつ国債買い入れ規模を減らしている縮小措置を来年3月まで継続し、同年4月からは中止して月2兆円規模の国債買い入れを維持することとした。最近、10年国債利回りが一時2.8%まで急騰するなど債券市場の変動性が高まったため、出口戦略を継続しつつ市場の安定を図る措置と解釈される。
円高には結びつかず
追加引き締めの可能性にもかかわらず、外国為替市場の反応は冷ややかだった。この日の東京外国為替市場で円ドル相場は1ドル当たり160円台前半で推移し、円安水準を示した。日銀の利上げ発表直前に160円線付近まで上昇していた円は、決定直後に、むしろ売り圧力が強まった。
市場では日本の利上げにもかかわらず円が強含みを示さない背景として、依然として低い実質金利を指摘する。日本の消費者物価上昇率は4月時点で2.8%と、政策金利1%を大きく上回っている。これを考慮すると、日本の実質金利はなおマイナス圏にとどまっている。米国との金利差も円の反発を制限する要因だ。米国の政策金利は3.50~3.75%水準で、日本との名目金利差は縮小したが、実質金利差はなお大きい。債券市場も日銀の決定に好意的ではなかった。この日、日本の10年国債利回りは前日比0.07ポイント上昇の2.645%を記録し、取引中には2.655%まで上昇した。20年物と30年物の利回りも同様に上昇した。
一方、株式市場は不確実性が解消されたとして好反応を示した。この日、日経平均株価(日経225)は前営業日比87.32円(0.13%)高の6万9,404円50銭で取引を終え、過去最高値を更新した。取引中には史上初めて7万円の大台を突破する場面もあった。















コメント0