
中国国営英字紙グローバル・タイムズは21日(現地時間)、昨年、米国で約15万人の人口が純流出したことを受け、「移民の国」という呼称を見直す必要があるかもしれないと報じた。
同紙は、米国で移民の純流出が1930年代の世界恐慌以来初めて起き、今年と来年はさらに加速するとの見方を示した上で、その背景や意味、影響を詳しく分析した。
同紙によると、学者らは、こうした人口動態の逆転が米国の経済活力や社会的結束、国際的な魅力の低下を示していると指摘した。
ブルッキングス研究所が1月に発表した報告書では、昨年の米国の純移民数はマイナス1万人からマイナス29万5,000人になると予測された。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は関連データを分析し、昨年、米国から約15万人が純流出したと推計した。米国でこうした人口の純流出が起きるのは、1930年代以来初めてだ。
米国政府は、不法移民の国外退去やビザ規制を強化する政策が原因だとみている。米国土安全保障省は、昨年、約300万人の不法移民が米国を離れたと明らかにした。
一方、WSJによると、50か国以上で米国人による居住許可の申請や海外不動産の購入、留学に伴う入学手続きなどが増えている。
欧州連合(EU)加盟27か国のほぼ全てで、居住や就労を目的に入国する米国人の数が過去最多となり、現在も増え続けている。
米国人による米国籍放棄の申請件数も増加し、2024年は前年比48%増となった。
昨年11月のギャラップ調査では、2年連続で米国人の5人に1人が、機会があれば他国へ永久に移住したいと回答した。
米国は長年、「移民の国」とみなされてきた。この表現は、ジョン・F・ケネディ元米大統領が上院議員だった1958年に著書『移民の国(A Nation of Immigrants)』を出版して以降、広く知られるようになった。
ブルッキングス研究所によると、米国政府による移民規制や強制送還措置は、こうした状況に一定の影響を及ぼした。
ただ、WSJによると、移住者らはインタビューで、経済的な問題や生活様式に対する考え方、米国の将来に対する失望感などが重なり、移住を決めたと説明した。
暴力犯罪の増加や生活費の上昇、深刻化する政治的混乱も、米国を離れる理由として挙げられた。
拡大する貧富の格差も、米国を離れる要因となっている。ピュー・リサーチ・センターによると、1971年には米国人の61%が中間所得層の世帯で暮らしていたが、2023年には51%に低下した。
世界情勢の変化も、米国で人口の純流出が起きた背景の一つとなっている。多極化が進む中で経済構造が再編され、世界の人材や資本を引き付ける国として、米国が持っていた圧倒的な競争力は弱まりつつある。
発展途上国の台頭や成長に加え、カナダやオーストラリアなどが打ち出す、より魅力的な人材誘致策や充実した社会保障制度も、米国を目指していた可能性のある移民を引き付けている。
米国への移民の減少は、まず経済に打撃を与えるとの見方が出ている。
3月に発表されたブルッキングス研究所の報告書によると、2024年から2025年にかけての移民減少により、米国の国内総生産(GDP)成長率は0.19~0.26ポイント押し下げられ、2025年の個人消費は400億~600億ドル(約6兆4,700億~9兆7,000億円)減少する可能性がある。
ジョージ・メイソン大学シャー政策・行政大学院のジャスティン・ゲスト教授は、どのような人々が米国を離れているのかも重要だと指摘した。
科学誌『ネイチャー』が海外の求人データを分析したところ、昨年1~3月に米国の科学者が海外の研究職へ応募した件数は、2024年同期と比べて32%増加した。
こうした人材の流出が進めば、米国は労働力だけでなく、イノベーションや長期的な経済成長を支える重要な原動力まで失うことになる。
移民の純流出は、米国の例外主義や国家としてのアイデンティティーにも影響を及ぼしている。
移民への市民権付与や出生地主義に基づく市民権制度など、米国の根本原則を後退させようとする動きは、米国を特別な国としてきた理念の根幹を揺るがすものとみられている。
テンプル大学のケイトリン・ジョイス研究員は、WSJの取材に対し、「米国は世界で最も優れた国であり、誰もが移住したがっているという米国例外主義の考え方を弱める」と述べた。
2025年に140か国・地域の成人14万4,000人以上を対象に実施されたギャラップの調査によると、米国への永住を希望する人の割合は、世界全体で約20年ぶりの低水準に落ち込んだ。
移住先として米国を希望する人は、世界の成人の15%にとどまり、2007~2009年の24%から低下した。

















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