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金正恩氏の“娘アピール”は偶然ではない?…「4代世襲に向けた緻密な布石」との見方

荒巻俊 アクセス  

「親バカ」金正恩…「4代世襲に向けた周到な準備」

引用:平壌労働新聞

北朝鮮の金正恩総書記が、10代の娘であるキム・ジュエ氏を4代目の後継者とする可能性を見据え、長期的な準備を進めているとの見方が示された。

ジュエ氏の現在の年齢は13歳前後と推定されている。42歳の父・金正恩は比較的健康とみられるにもかかわらず、すでに次期後継者として取り沙汰されている背景には、金正恩自身が経験した険しい世襲の過程があるとの分析だ。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日(現地時間)、金正恩は北朝鮮の国防委員長である金正日氏の死後、わずか3年間で叔父の張成沢氏と異母兄の金正男氏を殺害するという、血なまぐさい粛清を通じて権力を掌握したと伝えた。

このため、世襲の初期には軽んじられることもあった金正恩は、北朝鮮の住民にジュエ氏を後継者として認識させるため、長期的な取り組みを進めているという。

米国の安全保障シンクタンクであるスティムソン・センターのレイチェル・ミニョン・リー氏はFTに対し、「最近のジュエ氏の公の場への登場や、公的な呼称の変化は、4代世襲に向けた意図的な取り組みを示唆している」と評価した。

米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ韓国部長は、「現在、金正恩の周囲で目立つ人物は、妻の李雪主氏、崔善姫外相、妹の金与正氏など、いずれも女性だ」としたうえで、「同氏が女性の権利に強い関心を持っているというより、もし若い男性がいれば、その人物にあらゆる注目が集まってしまうためだ」と分析した。

金正恩自身も、自らの権力を脅かしかねない若い男性よりも、女性を周囲に置く方がはるかに安心感を得られると付け加えた。

ジュエ氏は昨年9月、中国で開かれた閲兵式に出席する父親に同行し、初の海外訪問として列車に乗って中国・北京を訪れた。

続いて、今年2月に開かれた朝鮮労働党第9回公式党大会にも姿を見せ、金正恩とともに錦繍山太陽宮殿への参拝など主要日程に同行した。

朝鮮労働党の党規約では18歳以上でなければ入党できないため、未成年のジュエ氏は正式な党職に就くことはできない。しかし、後継者教育の一環として、象徴的な特別な役職を与えられている可能性がある。

ジュエ氏は黒いレザージャケット姿で戦車に乗ったり、射撃を行ったりする様子を公開しているほか、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の視察にも参加するなど、「軍を統率できる強い女性指導者」というイメージを築いている。

金正恩がジュエ氏を溺愛する様子から、韓国では「親バカ」という愛称も付けられたが、その実態は4代世襲体制の早期安定化を図るための周到な準備だとの見方が出ている。

引用:朝鮮中央TV
引用:朝鮮中央TV

一部では、伝統的に父系中心の文化である北朝鮮では女性の後継者はあり得ないとの見方もあるが、性別より重要なのは「白頭血統」だとの主張もある。

世界北朝鮮研究センターの安燦一所長は、「北朝鮮では世襲に対する拒否感はとうの昔になくなっている」としたうえで、「最高指導者の息子、あるいは娘が最高指導者になるべきだという考えが定着しているため、金正恩はさまざまな計算の末にジュエ氏を公の場に登場させた」と述べた。

さらに、「もし金正恩と李雪主夫人の間に息子がいるのであれば、あえて『勉強させている』とカムフラージュしたり、隠しておく必要はない」と述べ、ジュエ氏を通じて早い段階から世襲体制の安定化を図っているとの見方を示した。

また、北朝鮮が早い段階で4代目の後継者を前面に押し出していることは、今年3月の憲法改正で「統一」という文言を削除し、「二国家論」を法制化したこととも軌を一にしているという。

さらに、朝鮮労働党機関紙の労働新聞が、500年続いた李氏朝鮮王朝に続く「1,000年にわたる政権維持」を掲げる報道を行うなど、世襲体制の正当性を強調する姿勢を示していると指摘した。

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