
イラン最大のガス田サウスパルスと、これに直結するアサルイェの天然ガス精製施設群が、米国とイスラエルのミサイル攻撃を受けたと、イランの「ファルス通信」が18日(現地時間)に報じた。米国とイスラエルはこれまで、イランの核・ミサイル関連などの軍事施設を重点的に攻撃してきたが、今やイランの産業基盤に対する広範な攻撃に着手したとみられる。イスラエル・カッツ国防相は同日、「本日、すべての戦線で『重大な異変』が予想され、イランやレバノンのヒズボラとの戦闘がさらに激化するだろう」と述べており、イランに対する広範な攻撃の対象に、中核的なエネルギー施設が含まれた可能性がある。
これに対しイランは、「戦争の構図が新たな局面に入った」としたうえで、「戦争の重心は限定的な戦闘から『全面的な経済戦争』へ移った」と主張した。さらに、湾岸諸国の特定のエネルギー施設を列挙し、大規模な報復を予告した。差し迫った状況に置かれた中東諸国からは、自制を求める声が上がっている。「イラン国営放送」は、サウスパルス・ガス田の3〜6地区が米国とイスラエルの攻撃を受け、各地区で火災が発生し操業が停止したと報じた。「ファルス通信」も、「敵(米国・イスラエル)がアサルイェのガス精製施設を攻撃した」として、施設の各所で爆発音が繰り返し轟いたと伝えた。
ペルシャ湾に面するアサルイェの精製施設群は、世界最大級の海上ガス田であるサウスパルスからパイプラインで送られてくる天然ガスを精製・加工する施設で、イランを代表するエネルギー拠点の一つとされる。「ファルス通信」は、従業員が安全な場所に避難しており、消火活動が行われていると付け加えた。人的被害は現時点で確認されていない。アサルイェがあるブシェール州当局は、「サウスパルス・ガス田の複数の区画に『シオニスト(イスラエル)』と米国が発射した飛翔体が着弾した」としたうえで、「被害を受けた区画は火災の拡大を防ぐため、操業を停止した」と明らかにした。
主要エネルギー施設を攻撃されたイランは、湾岸地域の石油・ガス施設への報復を予告した。革命防衛隊はこの日、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールのエネルギー施設を攻撃すると威嚇し、避難を勧告。具体的には、サウジアラビアのサムレフ製油所やジュベイル石油化学団地、UAEのアルホスン・ガス田、カタールの石油化学工場などを列挙した。サウスパルス・ガス田への攻撃を受け、ブレント原油先物が5%、欧州のガス価格が6%急騰するなど、エネルギー価格は一気に上昇した。
カタール外務省はこれを受けて緊急声明を出し、「エネルギーインフラに対する攻撃は、世界のエネルギー安全保障、中東の市民、そして環境に対する脅威だ」と非難した。また、「不可欠な施設への攻撃は避けるべきだと改めて強調する。当事者は最大限の自制を発揮すべきだ」と訴えた。さらに、「中東の軍事的緊張が高まる中、今回の攻撃は危険かつ無責任だ」として、米国とイスラエルを重ねて批判した。カタールはイランとサウスパルス・ガス田を共有している。
「ファルス通信」は、「今夜から『レッドライン(越えてはならない一線)』は変わった」としたうえで、「敵が今回の攻撃でイランを後退させられると考えているなら、全くの誤算だ。イランは報復というカードを手にした」と伝えた。イランは今月、サウジアラビアのラス・タヌラ製油所、カタールエナジーの液化天然ガス(LNG)生産設備、UAEのルワイス製油所、バーレーンの製油施設など、エネルギーインフラへの攻撃を継続している。
イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は自身の「X(旧ツイッター)」に、「今回の攻撃は状況をさらに複雑にし、その影響は世界を飲み込む制御不能な結果を招く恐れがある」と投稿。そのうえで、「このような攻撃は敵に何の利益ももたらさない」と強調した。モハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長も、エネルギー施設への攻撃を受け、「目には目を」式の報復を予告し、「新たな段階の対決が始まった」と述べた。
実際、イランはこの日、世界のLNG供給の約20%を担うカタールのガス施設集積地にミサイル攻撃を加えた。カタール内務省によると、イランの攻撃により、北部沿岸の産業都市ラスラファンにある国家中枢ガス施設で火災が発生。カタール国営エネルギー企業の「カタールエナジー」は、イランの攻撃によりガス施設に広範な被害が発生したと発表した。
















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