
テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスク氏が、火星ではなく月に先行して10年以内に自立型の宇宙都市を建設する構想を示し、月探査が再び注目を集めている。有人月周回飛行計画アルテミスⅡも、米航空宇宙局(NASA)が2030年前後までに月とその周辺に持続可能な人類居住拠点を構築する計画の一環として、来月打ち上げられる予定で、月が宇宙開発の中心テーマとなりつつある。
マスク氏は当初、月ではなく火星に自立都市を築くことを目標としていた。人類を月や火星へ送り出そうとする背景には、太陽の変化によって地球上の生命が将来的に存続できなくなる可能性があり、人類の絶滅を防ぐには火星にコロニーを築く必要があるとの考えがある。
しかし今月9日、マスク氏は自身のSNS Xで「火星都市の建設は5〜7年以内に開始する計画だが、最優先は人類文明の未来を確保することであり、その点では月の方が早い」と投稿した。昨年5月のFox Newsのインタビューでは、火星コロニーを「人類文明の保険」と表現し、人類の意識を多惑星へ拡張して文明の長期的存続を図る必要性を強調していたが、まずは月を目指す方針に転じた形だ。
マスク氏は、地球が生命の生存に適さないほど高温化するまで約4億5000万年の猶予があると推定している。太陽は徐々に膨張しており、その時点で地球は消滅するとみられることから、人類が多惑星文明へ進む必要があるとの見解を示している。
月は自立型都市の建設を目指すと同時に、火星コロニーに向けた前進基地としての役割も担う。月と火星の平均距離は地球と火星の距離に近い約2億2000万kmで、月と地球の距離約38万kmと比べ距離短縮の効果は限定的だ。ただし、月から出発する場合、地球の重力圏を離脱するためのエネルギーが不要となる点で利点がある。さらに月に燃料生産拠点を整備すれば、地球から重い燃料を輸送する必要がなくなり、効率性が高まるとされる。
この観点から、エネルギー源を確保するための月資源探査は重要視されている。月の極域に存在するとみられる水や氷を電気分解して酸素や水素を生成できれば、月の自立都市だけでなく火星探査用燃料の生産にもつながるためだ。
核融合エネルギーの有力候補とされるヘリウム3は、地球より月に豊富に存在すると考えられている。地球は磁場が太陽風を遮るためヘリウム3がほとんど蓄積されないが、月は磁場を持たないため数十億年にわたり太陽風にさらされ、表面土壌レゴリスにヘリウム3が蓄積されたとみられる。従来の核融合反応(重水素と三重水素など)は放射性副産物を伴うが、ヘリウム3を用いた反応は放射性廃棄物が少なく、よりクリーンなエネルギー源として期待されている。
月に存在するレアアースや希少金属も探査が進む理由の一つだ。地球上のレアアースや金属資源は数百年で枯渇する可能性があるとされるためである。月の起源として最も有力な説は、約45億年前、地球形成直後に火星サイズの原始惑星が衝突し、飛散した物質が集まって月が形成されたというものだ。
地球と月の物質構成は基本的に類似しているが、衝突時の高温や蒸発過程、その後の隕石衝突や火山活動、太陽風の影響により成分が変化し、地球では希少なレアアースや金属が存在すると考えられている。ただし現時点で経済的に採掘可能な集中鉱床は確認されていないと専門家は指摘している。













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