
中国の若者の間で、富を誇示する代わりに互いの苦労を共有し、誰がより安く物を買えたかを競う「逆比較」の動きが急速に広がっている。激しい競争社会で生き抜くための自己防衛的な態度だという分析がある一方、彼らの意欲をそぐ恐れがあるとして懸念が示されている。
香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は3日、中国の若い世代の間で逆比較トレンドが広がっていると報じた。前の世代が高級ブランド品などで成功を誇示したのに対し、2000年前後に生まれたZ世代は、できるだけ安く買えたことを自慢と捉える空気がある。
SNS上では、この傾向を示す投稿が相次いでいる。
「ルームメイトが洗剤2袋をたった1フェン(0.01元、約0.2円)で買ったと聞いて、2日間眠れなかった」という投稿は5万2000件の「いいね」を集めた。
「友人がA4用紙100枚を0.99元(約23円)で買ったと知り、絶望感に襲われた」という投稿にも9000件の「いいね」が付いた。大都市で月3000元(約7万円)で暮らす方法を共有するコンテンツも人気を集めている。
節約競争は消費だけにとどまらない。
春節(旧正月)の連休に帰省した若者は、家族の集まりでボーナスの減額、家賃の上昇、強い業務ストレス、就職難などの悩みを率直に打ち明ける。かつては帰省する際に「故郷へ錦を飾る」ような成功を示す圧力が強かったが、今はむしろ厳しい事情を先に打ち明けるという。
ネット上では「みんなが大変だと言うので、かえって心が楽になった」とし、別の投稿では「うまくいっていると言えば標的になるが、うまくいっていないと言えば何も言われない」と伝えた。結婚や恋愛をめぐる親戚からの小言を避ける手段として機能しているとの意見もある。
西安交通大学公共政策行政学部のヤン・シュエエン教授は、「逆比較トレンドは、若者が強い圧力の中で消費主義から距離を置こうとする動きを反映している」と分析した。
彼は「競争が激しい社会で富を誇示すれば、嫉妬や非難を招きかねないことに若者自身が気づいた」と付け加えた。続けて、同世代同士で苦労を共有することが連帯感を高め、社会的圧力への不満を解消する出口になっていると評価した。
一方で、ヤン教授は「このトレンドのポジティブな面は、合理的な消費への回帰だが、若者が現実を変えようとする意思を失い、社会全体に悲観的な空気が広がる可能性がある点には警戒が必要だ」と懸念を示した。














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