
糖分の含有量が高い食事は、人間を含む大多数の動物に糖尿病などの健康問題を引き起こす。しかし例外的に、ハチドリやオウムなど一部の鳥類は、蜂蜜や果物といった高糖分の餌を摂取することに適応してきた。
こうした中、異なる地域で収斂進化を遂げた「高糖食鳥類」に遺伝的な共通点があることが判明した。今回の研究成果は、2型糖尿病などの人間の代謝疾患に関する治療法の確立に向けた一助となることが期待されている。
ドイツのマックス・プランク生物知能研究所のモード・ボールドウィン氏、米ハーバード大学のティモシー・サクストン教授、独ゲーテ大学のミヒャエル・ヒラー教授らによる共同研究チームは、世界各地に生息する鳥類が高糖分の食事に適応した遺伝的メカニズムを解明し、研究結果を現地時間2月26日付の国際学術誌「サイエンス」に発表した。
蜂蜜や果物を主食とする高糖食鳥類は全鳥類の中では稀だが、異なる大陸に広く分布している。研究チームは、彼らが同じ遺伝的変化を経験したのか、あるいはそれぞれ異なる過程で進化したのかを確認するための研究を行った。
共同筆頭著者であるハーバード大学のエカテリーナ・オシポワ博士研究員は、蜂蜜や甘い果物を主に摂取する食事は独特の生理学的課題を提示すると指摘。適切な血圧と塩分バランスを維持しながら、膨大な体液量を管理しなければならないと説明した。
研究チームは、北米、オーストラリア、アフリカ、アジア全域に生息するハチドリ、オウム、ミツスイなど、4つの系統群に属する高糖食鳥類9種の全ゲノム配列を分析した。その結果、一部の遺伝的変化は個別に見られたものの、2つ以上の系統群にわたる共通の変化も確認された。これらは血圧や水分バランスを調整する遺伝子のほか、心拍リズム、腎臓でのイオン輸送を調整する遺伝子に影響を与えていた。研究チームは、高い糖濃度と大量の体液を同時に管理しなければならない困難が、遺伝子に反映されているとの見解を示した。
糖分と脂質の恒常性を維持する核心的な調節遺伝子である「MLXIPL」は、すべての系統群で収斂的に進化した唯一の遺伝子であることが判明した。
研究チームは、数百万年にわたり異なる大陸で進化したにもかかわらず、4つの系統群すべてが独立して同じ遺伝子を変化させた事実は、極端な糖負荷を処理する上でMLXIPL遺伝子が不可欠であることを示唆していると説明した。
MLXIPLは人間の代謝においても重要な役割を果たす遺伝子であり、今後は糖尿病などの疾患理解に向けた新たな標的となる可能性がある。
共同筆頭著者のモンチン・コー博士研究員は、人類の祖先は低糖分の食事で進化してきたが、現代では多くの人が身体の処理能力を超える糖分を摂取していると言及。その上で、高糖食の鳥類がどのように適応したのかを理解することは、最終的に糖尿病やその他の代謝疾患に対する新たな治療標的を特定するのに役立つだろうと語った。














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