イラン、ホルムズ海峡「サービス料金」で年6兆4,680億円の収益構想
WSJ「安全・環境関連サービス名目…周辺国にも参加提案」

イランがホルムズ海峡の再開放を機に、海峡通航の管理権と収益の確保を同時に進めていると、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)』が25日(現地時間)報じた。
米国とイランの停戦合意により、世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の通航は段階的に再開される見通しだが、海峡の管理方式をめぐる両国の主導権争いも続くとみられる。
WSJは複数の当局者の話として、イランはホルムズ海峡で警備・安全・環境関連のサービスを提供する対価として、関係国が年間400億ドル(約6兆4,680億円)の収益を上げられるとみていると伝えた。
イランは現在、トルコがダーダネルス海峡を通過する船舶に課している「ゴールドフラン」と呼ばれる制度などを参考に、ホルムズ海峡でも単なる通行料ではなく、海上安全や環境管理、救助・救難などのサービス費用を船舶に課す案を進めているという。
ダーダネルス海峡は黒海と地中海を結ぶ国際水路だ。国際法上、自然に形成された海峡などの国際水路については、沿岸国が通行料や手数料を一方的に課すことはできない。しかしトルコは1936年の『モントルー条約』に基づき、衛生や灯台、救助サービスなどの名目で、ダーダネルス海峡を通過する船舶から費用を徴収している。
イランはオマーンなど周辺国に対しても、ホルムズ海峡のサービス料金徴収に参加し、収益を分配する案を提案したとされる。
イランは今年2月末、米国とイスラエルによる先制攻撃を受けて戦争に突入して以降、各国のタンカーなどのホルムズ海峡通航を制限してきた。ホルムズ海峡は、それまで世界の原油・液化天然ガス(LNG)の輸送量の約20%が通過する重要な海上輸送路だった。

米国とイランは今月17日、ホルムズ海峡の再開放などを盛り込んだ終戦に関する了解覚書(MOU)に署名した。しかしイラン側は、戦前と同じ「無料通航」は認められないとして、海峡通航の新たな手続きを整備し、各国の船舶に事前登録を求めるなど、統制を強化している。
これに対し米国側は、ホルムズ海峡で通行料や手数料を課す案は危険な前例になり得るとして強く反発している。
マルコ・ルビオ米国務長官は23~25日の中東歴訪中、いかなる国にも国際水路の利用に料金を課す権利はなく、湾岸諸国もホルムズ海峡への課金構想に反対していると述べた。
ホルムズ海峡を挟んでイランと向かい合うオマーンも、ホルムズ海峡の通航は無償で保証されるべきだとの立場を維持している。オマーンは海峡再開放に関連し、国際海事機関(IMO)と調整し、オマーン沿岸に近い場所に一時的な安全航路を提供すると表明した。また、今後のホルムズ海峡の管理体制に通行料は含まれないとの立場を米国側に伝えたという。
このため、専門家からは、イランの構想が実現するまでには法的・外交的な障害が大きいとの指摘が出ている。ただし、イランが他国と共同でサービス料金制度を運営することに国際海事機関(IMO)の加盟国が同意すれば、状況が変わる可能性もある。
これをめぐり、イランはマラッカ海峡の多国間海上パトロール体制に類似した形で、ホルムズ海峡でも域内諸国が共同で参加する管理体制の構築を検討しているとWSJは伝えた。マラッカ海峡では、マレーシア、インドネシア、シンガポールなどが海賊や海上の脅威に対応するため、共同パトロール体制を運用している。
ホルムズ海峡は単なる航行再開の問題にとどまらず、戦後秩序や海上統制権、エネルギー安全保障をめぐる米国とイランの交渉の主要な争点となる見通しだ。













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