ドイツのBMWが約1,100億円規模のイギリス電気自動車投資計画を再検討すると発表した。世界の自動車業界が電気自動車への転換に慎重な姿勢を見せ始めているとの見方が出ている。
ブルームバーグ通信によると、BMWは22日（現地時間）の声明で「自動車業界が直面している様々な不確実性を考慮し、イギリスのオックスフォード工場でのミニ電気自動車の生産再開時期を検討している」と明らかにした。
BMWは昨年、イギリス政府の支援のもと、オックスフォード工場での電気自動車モデルの生産を含む6億ポンド（約1,134億円）の投資計画を発表していた。同工場では2026年までに電気自動車生産を開始し、2030年からは全面的に電気自動車生産に移行する計画だったが、当初の予定通りに進むかは不透明な状況となっている。
イギリスの自動車産業の雇用が危機に瀕しているとの分析も出ている。2030年からガソリン・ディーゼル車の新車販売が禁止される予定のイギリスでは、当初、BMWの投資により4,000人の雇用が維持されるとの見方があったが、投資の再検討により打撃が懸念されている。イギリスでは過去10年間にホンダ、フォード、ジャガー・ランドローバー（JLR）、ステランティスなどが工場を閉鎖している。
一方、世界の電気自動車市場は停滞から脱却できていない。特にドナルド・トランプ米大統領が示唆した25%程度の関税や、米国のインフレ削減法（IRA）に基づく電気自動車補助金の継続可否に関する不確実性に業界は神経をとがらせている。
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