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「200万円台セダンが静かに消えた」…日産ヴァーサ販売終了、MT廃止で“庶民カー”時代に幕

山田雅彦 アクセス  

200万円台で手に入る「コスパ優等生」

日産ヴァーサ、ついに販売終了へ

MT仕様はすでに姿を消す

米国で最も手頃な価格の新車として知られていた日産ヴァーサが、その役割に静かに幕を下ろそうとしている。5速マニュアルトランスミッションを標準装備し、約1万6,000ドル(約229万円)という価格を維持してきたが、生産効率の改善や政策変更を理由に、マニュアルモデルの生産終了が決定された。

この結果、米国市場において2万ドル(約286万円)以下で購入できるマニュアルセダンは、ほぼ姿を消す見通しだ。価格競争力の要であったマニュアル仕様がなくなったことで、ヴァーサは最安セダンとしての地位を維持できなくなった。

マニュアル仕様の終了

競争力低下が顕著に

これまでヴァーサ最大の魅力は、200万円台前半という手頃な価格で購入できる点だった。しかし、2025年モデルからはマニュアル車の生産が打ち切られ、ラインナップから除外された。現在、米国でのマニュアルモデルの価格は1万8,331ドル(約263万円)に上昇し、CVT仕様は2万130ドル(約288万円)に達している。さらに、上位モデルであるセントラとの価格差は約1,000ドル(約14万円)にまで縮まり、ヴァーサ独自の価格的アドバンテージは失われつつある。この背景には、米国政府が導入した新たな関税政策の影響がある。

ヴァーサはメキシコのアグアスカリエンテス工場で生産され、そこから米国へ輸出されるが、関税コストが販売価格に転嫁されるかたちとなっている。日産はこの関税適用前に約60日分の在庫を米国市場へ事前搬入することで短期的な価格維持を試みたが、中長期的には価格上昇を避けられない状況にある。こうした動きに伴い、セントラの米国内生産への移行も検討されているという。

マニュアル終了で訴求力低下

恩恵の乏しい販売戦略に転換

マニュアル仕様の廃止は、生産効率やコスト削減の観点から見れば当然の流れとも言える。しかしその一方で、ヴァーサの低価格モデルはショールームへの誘客を担うマーケティング的役割も果たしており、影響は少なくない。さらに、日産はヴァーサを含む全モデルにおいて販売インセンティブの削減を進めている。2024年5月時点では、ヴァーサに適用される公式な割引プログラムは存在せず、一部ディーラーでも特別値引きやリベートの提供は見られなかった。

その結果、車両価格は上昇し、消費者にとっての“お得感”は薄れている。米国市場では平均新車価格が5万ドル(約717万円)に迫っており、2万ドル前後のモデルでさえ「手頃」とは言い難くなっている。かつてはエントリーモデルの代名詞だったヴァーサも、その地位を脅かされている。これはヴァーサ単体の戦略変更にとどまらず、自動車業界全体において低価格帯車種の維持が困難になってきた現実を象徴する事例と言える。

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