
日本の海外生産自動車の輸入量が2025年に30年ぶりの最高値を記録する見通しだと日本経済新聞(日経)が5日に伝えた。ホンダとスズキがインドでの生産量を大幅に増やし、円安の状況でもコスト競争力を確保している。日本自動車輸入組合が4日に発表した資料によると、2025年1月~11月の逆輸入車販売量は、前年同期比19%増の10万2,332台を記録したという。これは年間ベースで過去最高だった1995年の10万7,092台を超えることが確実視される。
1990年代の逆輸入車の増加は日米自動車貿易摩擦と1ドル90円程度の円高現象が背景にあった。当時、政府が貿易摩擦緩和のために輸入拡大政策を推進し、米国からの逆輸入が一時的に増加した。しかし、今回は1ドル(約156円)が150円を超える円安の状況で過去最高値を更新している。
輸入コストが増加する不利な環境でも逆輸入が増えている背景には、世界第3位の自動車大国として台頭したインドの存在がある。ホンダは2024年からインドで生産した小型多目的スポーツ車(SUV)「WR-V」を輸入し始め、2025年1~11月の逆輸入車販売量は3万5,043台に達した。スズキも2024年10月からインド生産のSUV「フロンクス」などを輸入し、逆輸入車販売量が前年同期比9倍増の3万9,009台を記録した。
インドの競争力は安価な人件費に由来する。日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査によると、日本系企業の工場で働く一般労働者の月給はインドのニューデリーで3万7,583ルピー(約6万4,967円)で、東京の29万5,849円と比較して5分の1の水準だ。インドが世界の自動車生産拠点としての能力を急速に高めている点も注目に値する。スズキの場合、日本の生産能力が100万台であるのに対し、インドは260万台に達する。
スズキの鈴木俊宏社長はインドについて「技術レベルが上がっている」とし、「日本で生産する自動車と品質の差が大きくない」と述べたと日経は伝えた。インドの2024年の自動車販売量は522万台で、日本の442万台を超え、中国、米国に次ぐ世界第3位の自動車市場としての地位を確立した。14億人の人口を抱えるインドは今後も持続的な成長が予想される一方、日本は人口減少などで市場が縮小しており、2025年には6年連続で500万台未満を記録する見通しだ。
急激なインフレが進行する日本では、インドをグローバルな輸出拠点として活用することが円安の状況でもコスト効率を確保する手段として評価されている。ホンダは2027年から発売する電気自動車(EV)グローバル戦略モデル「Honda 0 α」をインドで生産し、日本に輸入する計画を発表した。
今後、逆輸入車は米国でも増加する可能性が高い。米国との関税交渉の結果に応じて、日本政府は米国車に対する認証手続きを簡素化し、輸入を容易にする方針だ。米トランプ政権は10月、トヨタ自動車が米国で生産した車両を日本に「逆輸入」する計画を発表した。














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