
中東情勢の緊張でガソリン価格の上昇圧力が強まる中、政府はガソリンの小売価格が1リットル当たり170円を超えた場合、超過分を石油元売り各社に全額補助する方針を決めた。軽油、重油、灯油にも同様の補助を適用する。石油元売り各社が12日からガソリンスタンド向け卸価格を大幅に引き上げ、全国平均価格が180円を上回る可能性が高まっていることを受け、価格安定策を急いで打ち出した格好だ。
日本経済新聞によると、日本の高市早苗首相は前日、首相官邸で記者団に対し、中東情勢の悪化に伴う原油価格の急騰に対応するため、変動を直ちに抑える措置を講じるよう赤沢亮正経済産業相に指示したと明らかにした。
高市首相は、ガソリン価格が1リットル当たり200円を超える可能性も排除できないとしたうえで、店頭価格が170円を上回らないよう、19日出荷分から補助を実施すると説明した。
具体的には、経済産業省が石油元売り各社に対し、小売価格が170円を超える部分を全額補助する。軽油、重油、灯油についても同じ仕組みを適用する。財源には、燃料補助向け基金の残高2,800億円を充てる。
背景には、イラン情勢の緊迫化による原油高がある。石油元売り各社がガソリンスタンド向けの卸価格を大幅に引き上げたため、12日からガソリンの全国平均価格が180円を超える可能性が高まっている。
石油情報センターによると、9日時点のレギュラーガソリン全国平均価格は1リットル当たり161.8円で、前週より3.3円上昇した。ガソリン価格は昨年末、暫定税率25.1円の廃止後に155円前後で安定していたものの、足元ではイラン情勢の緊張を受けてじり高となっている。
石油元売り各社は毎週木曜日、前週の原油市況を踏まえて卸価格を見直している。8日の米先物市場では、原油の国際指標であるWTI先物が一時1バレル119ドル(約1万8,900円)を付けた。米国とイスラエルによるイラン攻撃前の約65ドル(約1万300円)と比べると、ほぼ2倍に上昇したことになる。
こうした動きを受け、石油元売り各社は12日から卸価格を1リットル当たり平均26円引き上げる計画だ。業界関係者は、消費税分も含めれば値上げ幅は30円近くになるとして、ガソリンスタンド側で吸収するのは難しく、店頭価格へ転嫁せざるを得ないとの見方を示した。
ガソリン価格が今後、過去最高の186.5円を超え、一部地域では一時的に200円台へ乗る可能性も取り沙汰される中、政府は補助金支援の方針を前倒しで公表した。
高市首相は、中東情勢の推移とそれに伴う原油価格の水準を注視しながら、必要な対応を続けると強調した。そのうえで、事態が長期化した場合でも国民生活を継続的に支えられるよう、支援策を柔軟に検討していく考えを示した。
この日は、国際エネルギー機関(IEA)の正式発表に先立ち、石油備蓄の放出方針も明らかになった。
高市首相は、国際的な備蓄放出の正式決定を待たず、日本が先行して16日にも備蓄放出を実施することを決めたと述べた。さらに、イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、今月下旬以降の原油輸入が大幅に減る見通しだとしたうえで、ガソリンなど石油製品の供給に支障が出ないよう、主要7か国とIEAと連携しながら石油備蓄を活用する考えを示した。
経済産業省関係者は同日の説明で、官民の石油備蓄のうち約8,000万バレルを放出する計画だと明らかにした。
同日、IEAは中東戦争に伴う国際的なエネルギー危機を和らげるため、4年ぶりに戦略備蓄油の放出を決めたと発表した。今回の緊急放出量は4億バレルで、IEA史上最大規模となる。
IEAのファティ・ビロル事務局長は、現在直面している石油市場の課題は規模の面で前例がなく、加盟国がこれまでにない規模の緊急共同対応で応じたことを非常に心強く受け止めていると述べた。
IEAによると、戦略備蓄油は各加盟国の事情に応じ、適切な期間にわたって市場に供給される。一部の国は追加の緊急措置によってこれを補完する予定だという。
















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