「家計は苦しいのに株価は別世界」…AI期待で米株、ドットコム・バブル級の過熱感

米国の家計景況感は70年ぶりの最低水準に落ち込んだ一方で、株式市場は記録的な上昇を続けている。人工知能(AI)への期待が企業収益見通しを押し上げる中、消費者は高インフレや雇用不安、イラン戦争の影響に苦しめられており、株式市場と家計心理の乖離が異例なほど広がっている。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は23日(現地時間)、米国の消費者心理と株式市場が通常とは逆方向に動いていると報じた。
ミシガン大学は同日、消費者信頼感指数が約70年の調査で最も低い水準まで落ち込んだと発表した。消費者心理は年初からすでに低迷していたが、2月末にイラン戦争が始まった後、ガソリン価格が急騰し、さらに急速に悪化した。
今回の数値は、数十年ぶりの高インフレが続いていた2022年6月の従来の最低値をさらに10%下回った。ミシガン大学の消費者調査責任者ジョアン・シュー氏は、「物価は依然として非常に高く、雇用市場は過去4年間で明らかに弱体化した」とした上で、「戦争まで起きている状況だ」と説明した。
しかし、株式市場だけを見ると、米国の消費者がこれほど強い不安を抱えているとは想像しにくい。同日、S&P500種指数は8週連続の上昇を記録し、ダウ工業株30種平均も2日連続で過去最高値を更新した。
問題は、現在の株価水準が極めて割高に見える点だ。S&P500の景気調整後株の価収益率(CAPE)は40.8まで上昇した。この指標は、ノーベル経済学賞受賞者である米イェール大学のロバート・シラー教授が広めた長期的な株価評価指標として知られている。
シラー教授による145年分の統計では、CAPEが40を超えた時期は、ドットコム・バブル絶頂期前後だった2000年代初頭を除けばほとんどなかったとのことだ。当時は、経済成長や雇用拡大、低インフレ、冷戦終結、中国市場の開放、米国政府の財政黒字などを背景に、消費者心理も史上最高水準に近いほど楽観的だった。

しかし、現在の状況は当時とは異なる。2000年代初頭には、インターネットは世界をつなぎ生活を向上させる技術として楽観視されていたが、現在のAIは生産性向上への期待と同時に、雇用を奪うのではないかという不安も呼び起こしている。株式市場では、AIが企業の利益率を大きく押し上げるとの期待が広がっている一方、一般家庭では同じ技術が雇用不安の原因として受け止められている。
ジョンズ・ホプキンス大学金融経済学センターの所長であるロバート・バーベラ氏は、現在の乖離を説明できる三つの可能性を示した。第一は、株価が米国経済の実態から乖離しており、今後急落するリスクがあるという見方だ。この場合、消費者の不安のほうが現実に近いことになる。
第二は、株式市場がより良い未来を先取りして織り込んでいるという見方だ。イラン戦争の終結やインフレの緩和、景気回復への期待を市場が先行して反映している可能性がある。
第三は、AIが株式市場と家計心理をそれぞれ異なる方向へ押し動かしているという分析だ。企業がAIによって人件費を削減し、利益率を高めれば、株価にとっては好材料となる。しかし、その過程でより多くの労働者が仕事を見つけにくくなれば、家計にとっては不安要因となる。
バーベラ氏は、「株式市場は大きく上がっているのに、家計の不安は深まっている。この二つは、実は同じ現象を違う角度から見ているだけかもしれない」と述べた。













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