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「防ぐと言いながら罰則はないのか?」…日本の選挙フェイクニュース対策に残る“抜け穴”

梶原圭介 アクセス  

「防ぐと言いながら処罰なし」 選挙偽情報対策に残る日本の法改正案の穴

引用:123RF
引用:123RF

日本が選挙期間中のSNS上の偽情報を防ぐため、法改正に乗り出す。人工知能(AI)で作成した画像や動画にはその旨を表示するよう求め、候補者に関する偽情報の投稿を控えるよう促す内容だ。ただ、違反しても罰則はない。選挙ディープフェイクが急増した韓国の事例を踏まえると、罰則のない対策が実際の選挙でどこまで効果を発揮するかは不透明だ。

共同通信などによると、与野党は16日、選挙関連のSNS規制を盛り込んだ公職選挙法改正の要綱案で合意した。自民党や中道改革連合などは、今国会での成立を目指し、来週にも法案を提出する方針だ。

改正案の柱は、選挙期間中に候補者をめぐる偽情報が拡散するのを防ぐことだ。現行の公職選挙法には、候補者に対する悪意ある誹謗中傷が公正な選挙に悪影響を及ぼさないようにするとの規定がある。与野党はここに「偽情報」を追加することにした。

AIを使って作成した画像や動画をオンラインに投稿する際、その事実を表示するよう求める内容も盛り込まれた。選挙期間中にディープフェイク動画や加工画像が有権者の判断を誤らせるおそれが強まっているためだ。生成AI技術の急速な発展により、実在の人物の発言や行動に見える偽コンテンツも作りやすくなっている。

AI選挙対策を掲げても罰則はなし

ただ、今回の改正案は強制力に限界がある。利用者に偽情報を投稿しないよう促し、AIで作成した画像や動画には表示を求めるものの、違反しても処罰されない。規制の実効性をめぐる議論は避けられそうにない。

SNS事業者への規制も併せて進める。政府は「情報流通プラットフォーム対処法」を改正し、プラットフォーム事業者に対して、選挙に及ぼす悪影響を減らすための措置を講じるよう求める方針だ。事業者は、関連する取り組みを年1回公表しなければならない。

ただし、具体的な対応は事業者の裁量に委ねられる。偽情報をどれだけ早く削除するか、AIで加工された画像や動画をどう表示するか、偽情報を繰り返し投稿するアカウントをどう扱うかは、引き続きプラットフォーム側の判断に左右される可能性が高い。

与野党は、来年4月の地方選挙にこの制度を適用することを想定している。施行日は来年3月1日とした。地方選挙を前に、SNSやAIによる偽情報が選挙を揺るがす事態を防ぐ狙いだ。

韓国はより強い規制でもディープフェイクが急増

韓国は日本よりも一足先に、選挙ディープフェイク規制を導入した。公職選挙法は、選挙日の90日前から選挙日まで、選挙運動を目的としてAI技術などで作成した、実物と区別しにくい仮想の音声、画像、動画などを制作、編集、配布、上映、投稿する行為を禁じている。

この期間外に選挙運動用のディープフェイクを使う場合でも、AIで作成した仮想情報であることを表示しなければならない。選挙運動にAIコンテンツを使っても、有権者が実際の映像や音声と誤認しないようにするための措置だ。

ただ、法律があってもディープフェイクが完全になくなったわけではない。中央選挙管理委員会によると、5月25日時点で6月3日の地方選挙に関連し、選管がプラットフォーム事業者に削除を要請したディープフェイク投稿は9,956件に達した。2024年の第22代国会議員総選挙時の388件と比べ、25倍以上に増えた。

選挙の現場では、AIで支持者の群衆を実際より多く見せたり、有名政治家を連想させる画像を合成したり、横断幕の文言を変えて拡散したりする事例が相次いだ。規制は強化されたが、生成AI技術が急速に広がる中、取り締まりの速度が拡散の速度に追いついていない。

韓国でも強い規制を設けながら、ディープフェイクの拡散を完全には防げていない。こうした状況を踏まえると、罰則規定のない日本式の対策が実際の選挙でどこまで機能するかは、さらに見通しにくい。選挙期間中のAI偽情報とSNS上の偽情報への対応は、日本と韓国に共通する課題となっている。

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