GoogleCEOの演説中に学生が集団退席、野次も…ジェンスン・フアン氏だけが歓迎された理由


米国の大学で人工知能(AI)に対する反発が広がっている。GoogleのCEOであるスンダー・ピチャイ氏が母校スタンフォード大学の卒業式で祝辞を述べたものの、一部の学生が集団で退席した。他大学でもAIに言及した講演者に対するやじが相次いでおり、AIによる雇用不安や巨大IT企業への不信感が背景にあるとみられている。
英BBCや米オンラインメディアのアクシオスによると、先日行われたスタンフォード大の卒業式でピチャイ氏が壇上に立つと、数十人から最大200人規模の学生が席を立ったという。
一部の学生は「GoogleのAIが米移民・関税執行局(ICE)の監視に協力している」と書かれたプラカードを掲げて抗議した。会場にはパレスチナの旗も現れた。学生たちは、Googleによる政府・軍事プロジェクトへの参加や、AI技術の使い方に異議を唱えたという。
ピチャイ氏は、冷ややかな空気を意識したのか、冗談から演説を切り出した。「私がここに立つことを難しく感じる人もいると思う」とした上で、「私の姓であるピチャイ(Pichai)の最後の二文字が、AIだからだ」と語った。
しかし、会場の空気を変えるには至らなかった。ピチャイ氏はこの日、AIよりも人生への楽観や挑戦に焦点を当てて語ったが、学生たちの反応は冷たいままだった。
こうした現象は、スタンフォード大だけの話ではない。
5月に行われたアリゾナ大学の卒業式では、Googleの元CEOであるエリック・シュミット氏がAIの発展に言及すると、学生から野次が浴びせられた。シュミット氏はAI革命をパソコンの普及期になぞらえ、技術の可能性を強調したが、客席の反応は芳しくなかった。
セントラルフロリダ大学でも、ある登壇者が「AIは次世代の産業革命だ」と述べると、一部の卒業生が野次を飛ばした。ミドルテネシー州立大学の卒業式では、レコード会社ビッグ・マシン・レコードのスコット・ボルチェッタCEOがAIに触れ、学生の反発に直面する場面もあった。

一方、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOには、異なる反応が寄せられた。
フアン氏は先月のカーネギーメロン大学の卒業式で「AIが皆さんに取って代わることはないだろう」と述べ、「ただ、AIを皆さんより上手に使いこなす人が、皆さんに取って代わる可能性はある」と語った。
AIによる不安を認めつつ、変化に適応する方法を示した点が、学生の共感を呼んだとの評価が出た。
専門家は、最近米国の大学で見られる「反AI」の空気について、技術そのものへの拒絶というより、将来への不安の表れに近いと分析する。
BBCは、AIが雇用を脅かしかねないという懸念に加え、巨大IT企業が政府の監視や軍事プロジェクトに関わっているとの不信が、若い世代の間で広がっていると伝えた。
実際、アクシオスとハリスの世論調査によると、Z世代の42%が、AIは自分の就職機会や賃金に悪影響を及ぼすと答えた。ミレニアル世代(33%)、X世代(39%)、ベビーブーム世代(37%)を上回る水準である。
ギャラップの調査でも、今を「就職に良い時期」と評価した割合は15〜34歳で43%にとどまった一方、55歳以上では64%に上った。
結局、米国の大学に広がる「反AI」の空気は、技術そのものを拒んでいるというより、AI革命の中で自分の将来が脅かされるかもしれないという若者の危機感の表れだ、との見方が出ている。アクシオスは、若い世代がAIそのものに反対しているわけではなく、AI革命の中で自分だけが取り残されることへの恐れを抱いているのだ、と分析している。













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