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ドル一強に変化の兆しか…中国が金融制度の大改革で狙うもの

太恵須三郷 アクセス  

中国、金融全体を統制する最上位法へ…習近平氏の「金融強国」構想が加速

中国が金融分野で初の基本法制定に着手した。銀行、保険、証券など業態ごとに分かれていた金融法体系を一つの最上位法の下で統合し、金融監督やリスク管理の権限を大幅に強化する方針だ。中国の習近平国家主席が就任以来掲げてきた「金融強国」戦略を法律で制度化する動きと受け止められている。

「すべての金融活動を監督」西側制裁も視野

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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新華社によると、全国人民代表大会(全人代)常務委員会は23日に開いた第23回会議で中華人民共和国金融法(草案)を初めて審議した。

金融法は中国の金融分野全体を統括する初の基本法であり、銀行法や保険法、証券法など個別法の上位法として位置付けられる。中国当局はこれを金融法体系の「1」と位置付け、業態別の法律(N)や関連法規(X)を含めた「1+N+X」の法体系を構築する方針だ。

最大の特徴はすべての金融活動を監督対象とすることを明文化した点にある。金融機関だけでなく、各種金融サービスやフィンテック、オンライン融資など新たな金融業態まで監督対象を拡大し、分類・格付けに応じた監督体制を整備して違法な金融活動を厳しく取り締まるとしている。

リスク管理体制も大幅に見直した。金融システム全体のリスク発生を防ぐための対応メカニズムや責任分担を整備するほか、中央政府と地方政府、関係当局の連携強化を図り、金融消費者や投資家の保護についても法律で裏付ける。

また、金融資源を国家戦略や先端製造業、科学技術革新など重点分野へ重点的に配分するとともに、財政・産業・雇用政策と金融政策の連携を強化し実体経済への支援を促進する方針も盛り込まれた。

さらに、外国が中国の国民や企業・機関に対して差別的な金融規制を導入したり、中国の金融安全保障を損なったりした場合、中国側が対抗措置や制裁を講じられる規定も盛り込まれ、西側諸国による制裁への対抗策も視野に入れた内容となっている。

専門家は不動産市場の低迷や地方政府債務、中小銀行の不良債権、シャドーバンキングなど金融リスクの蓄積が金融法制定を後押ししたとみている。業態別の規制だけでは複雑化した金融市場への対応が難しくなっていることから、最上位法によって監督体制を一元化し、金融の安定と産業育成を同時に進める狙いがあるとの見方だ。

ドル覇権の揺らぎ受け「金融強国」野心が加速

今回の金融法は習主席が近年進めてきた金融制度改革の延長線上にあると位置付けられている。習主席は2023年の中央金融工作会議で金融を国家の中核的な競争力と位置付け「金融強国」の建設を国家戦略として打ち出した。その後、国家金融監督管理総局を新設して銀行・保険分野の監督体制を再編し、2024年の中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議では金融法制定を正式な課題として採択した。

最近では「金融強国」構想の柱となる人民元の国際化にも一段と力を入れている。中国共産党の理論誌『求是』に今年初め掲載された演説で、習主席は金融強国の条件として「強い通貨」を挙げ、人民元を国際貿易や投資、外国為替市場で広く利用される通貨とし国際準備通貨としての地位確立を目指す考えを示した。

中国はこのほか、海外中央銀行向けレポ取引(RP)制度の整備や、デジタル人民元を活用した国際決済プラットフォームmBridgeの構築など、制度面の整備も進めている。

米国では財政赤字の拡大やトランプ政権の政策を巡る不透明感を背景にドル安が進んでおり、中国はこれを人民元の国際化と金融強国構想を推進する好機と位置付けている。特にロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争を受けてペトロダラー体制の揺らぎが指摘される中、代替通貨としての人民元の存在感も高まりつつある。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、貿易金融に占める人民元の利用割合は過去5年間で約3倍となり、今年4月時点で6%に達した。

一方で、中国当局が厳格な資本規制を維持する限り、人民元がドルに代わる基軸通貨となるのは容易ではないとの見方も根強い。中国当局は最近、本土の富裕層による海外株式投資の窓口となっていた海外証券会社3社に対し、無許可営業の疑いで総額3億3,000万ドル(約533億3,000万円)の制裁金を科すなど、資本流出の取り締まりを強化している。

国際通貨基金(IMF)によると、世界の外貨準備に占めるドルの割合は依然として50%を超える一方、人民元の比率は約2%にとどまっているという。

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