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「AIの蛇口を米国が閉めたのか」世界最高級AIアンスロピックに相次ぐ規制…中国封じか、AI主権侵害か

有馬侑之介 アクセス  

中国けん制か、AI主権の侵害か 米政府がアンスロピックを相次ぎ規制

世界最高水準の性能を持つと評価されるアンスロピックの人工知能(AI)が、今年に入って米国政府から2度にわたり規制を受けた。アンスロピックのダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は、AIが苦痛に似た感情を抱く可能性があると主張し、AIが人類の滅亡をもたらすリスクについて真剣に警告している。こうした立場から、トランプ政権に「左派の狂人」と非難されたこともある。アンスロピックが米政府による規制に直面する中、AI主権を巡る議論が注目を集めている。

出典:AFP通信
出典:AFP通信

17日(現地時間)、フランスのエビアンで開かれた主要7か国首脳会議(G7サミット)に出席したアモデイCEOらAI企業の経営トップは、国家元首並みの待遇を受けた。

そのわずか5日前、アンスロピックは自社の最新AIモデル「フェイブル5」と「ミトス5」について、外国からのアクセスを停止するよう求める輸出禁止措置を通告された。米国政府による一方的な規制でAIへのアクセスを突然遮断された欧州や韓国などでは、AI主権の侵害を懸念する声が上がった。

これに先立つ2月、アンスロピックは米国防総省のサプライチェーンに関するブラックリストに指定され、全ての連邦政府機関で使用が禁止された。アンスロピックが、AIを軍事用途に最適化するよう求めた国防総省の要求を拒否したためだ。

当時、米国のドナルド・トランプ大統領はアンスロピックについて、「現実世界を知らない急進左派企業が米軍を危険にさらし、国家安全保障を脅かしている」と怒りをあらわにした。しかし、G7サミットでアモデイCEOと面会した後は、「賢い人物で、責任ある行動を取っている」と評価し、姿勢を一転させた。

韓国の慶熙(キョンヒ)大学ビッグデータ応用学科のイ・ギョンジョン教授は、「アモデイCEOは、ミトス5が非常に高性能で危険なモデルであり、『脱獄』(AIの安全機能を回避する行為)によって生化学兵器の開発などに使われる可能性があると主張した」と説明した。その上で、「実際にミトスの脱獄が可能であることが明らかになったため、米国政府が輸出を禁止した。アンスロピックが問題を修正すれば、規制は解除されるだろう」との見通しを示した。

イ教授は、米政府によるアンスロピックへの規制には、アモデイCEOがAIの危険性を誇張してきたことも影響していると分析した。株式上場を前にAIの性能を過度に強調し、人々の不安や危機感をあおる、いわゆる「恐怖マーケティング」によって、自ら窮地に陥ったとの見方だ。イ教授は「AI企業の経営者が、自社の事業に都合のよい主張ばかりしていないか、注意深く見極める必要がある」と付け加えた。

出典:AFP通信
出典:AFP通信

米政府とアンスロピックの間では、輸出規制の解除に向けた交渉が順調に進んでいると伝えられている。18日にソウルで開かれたアンスロピック韓国法人の設立記者会見でも、アンスロピック・インターナショナル統括責任者のクリス・チャウリ氏は、「脱獄の問題はアンスロピックだけでなく、他社にも当てはまる。輸出規制は近く解除されるだろう」と述べた。

米政府がアンスロピックのAIの「脱獄」に敏感に反応した背景には、中国の存在がある。トランプ大統領は、AI分野で米国が中国に先行していると強調しているが、中国も急速に追い上げている。

アモデイCEOは「ミトス級のAIモデルを中国を含め、誰もが利用できるようになれば、深刻なリスクが伴う」と指摘した。

さらに、「中国の権威主義的な統治とAIが結び付けば、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』よりも悪い状況になる可能性がある」と警告した。

一方、AIの輸出規制が、かえって中国のオープンソースAIへの需要を高める可能性があるとの見方も出ている。中国のAI「DeepSeek」は、100万トークン当たりの料金が87セント(約141円)で、ミトス5の約60分の1にすぎない。

イ教授は「中国は米国に追い付くまで、AIのコードや学習データなどを公開するオープンソース戦略を取っているが、最初に非公開へ転じるのも中国だろう」と指摘した。その上で、「中国は十分な技術力を備えたと判断すれば、それ以上は公開しなくなるだろう」と予測した。

G7サミットでは、アモデイCEOをはじめとするAI企業の経営トップが、相次いで民主主義国家間の協力を呼び掛けた。アモデイCEOは「分断へ向かう誘惑に抵抗しなければならない」と訴えた。競合関係にあるOpenAIのサム・アルトマンCEOも、AIの管理について「国際的に認められる基準を設けるべきだ」と提案した。アモデイCEOは、アルトマンCEOとのAIの安全性を巡る考え方の違いから、2020年にOpenAIを退社し、アンスロピックを設立した。両社のCEOは今秋の株式上場を巡って激しい競争を繰り広げているが、AI規制を巡っては、民主主義国家が足並みをそろえて取り組む必要があるとの認識で一致した。

一方、アンスロピックによる突然のアクセス遮断措置は、ソブリンAIと呼ばれる独自のAIを構築する能力が必要であることを一段と浮き彫りにした。

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