
米国のドナルド・トランプ政権が、イラン政権に凍結資産の解除を提示し、ホルムズ海峡の通行料の撤回を説得してきたが、イランはこれを一蹴したと、米メディアが報じた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2日(現地時間)、複数の情報筋を引用し「米国とオマーンは、イランが通行料を課すという立場を撤回するよう説得する方策を模索している」とし「核心となる切り札は、総額約1,000億ドル(約16兆1,100億円)規模のイランの凍結資産の一部を解除するという提案だが、テヘランは応じていない」と伝えた。
報道によると、トランプ政権は、イランがホルムズ海峡の支配権の主張を放棄し、通航の費用の要求を撤回する場合、「数十億ドル」規模の凍結資産を解除すると提案したという。これにより、カタールに預けられた60億ドル(約9,667億円)の優先的な解除の議論が、実際に進展していたことが明らかになった。イスラム共和国通信(IRNA)や、米ニュースサイト、アクシオスなど両国のメディアを総合すると、両国は1日、ドーハでの間接交渉で、最低30億ドル(約4,833億円)解除の問題を議論した。
しかし、イランの実務交渉の代表であるカゼム・ガリババディ外務次官は2日「ホルムズ海峡は、米国ではなくイランの管理下にある」と回答した。イラン革命防衛隊(IRGC)はさらに「イランが承認した航路を利用しないすべての船舶は、即時かつ強力な対応に直面する」と断言した。
凍結資産の返還は、終戦の了解覚書(MOU)ですでに約束されているため、一部の優先的な解除を代償にホルムズ海峡の支配権を放棄するよう要求することは受け入れられない、というのがイランの立場とみられる。イランが期待するホルムズ海峡の通行料の収入は、年間400億ドル(約6兆4,000億円)に達する。
MOUの履行の問題をめぐり、核交渉が事実上停滞するなか、イランは、対立の長期化をてこに、ホルムズ海峡独自の支配権を最大限に確保するという戦略を立てていると伝えられている。イランにとって本当の切り札は核戦力ではなく、ホルムズ海峡を封鎖できる力だということがはっきりした。だからこそ今回、通行を制限する権限を公式なものとして固めておきたい考えだ。
米国は、オマーンだけでなく、ペルシャ湾沿岸の湾岸の同盟国が参加するホルムズ海峡の多国間の管理体制を構想しているが、イランは、自国とオマーンにのみ発言権があり、最終的な決定権はイランにあるという立場を堅持している。これに対し、カタールなど仲介国は、ひとまずオマーンが提案した「自発的な手数料(voluntary fees)」の徴収案を検討中だと伝えられている。
オマーンは、各海運会社が、船舶の安全確保などの名目で自発的に分担金を納めるようにする構想を、米国に伝えたとされる。実質的な通行料の強制の徴収であるイランとは異なり、貢献金という形で体制を構築しようというものだ。ただ、米国はオマーンの構想にも否定的な立場であるとされ、実現の可能性は高くないとみられている。
WSJは情報筋を引用し「米国は、この提案についても懸念を持っており、これをオマーンに伝える計画だ」と報じた。他の情報筋は「この構想も、イランに利益が還元される可能性がある」と付け加えた。
ドーハでの間接交渉で特に接点を見いだせなかった米国とイランは、それぞれ独立250周年の記念行事と、アリ・ハメネイ前最高指導者の葬儀を終えた後、交渉を再開する予定だ。葬儀は今月9日まで行われる。













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