NATO首脳会議を前にロシアが大規模攻撃
極超音速ミサイル29発を迎撃できず、キーウで20人超死亡
パトリオット迎撃弾不足が深刻化、供給難で追加調達も難航

トルコ・アンカラで7日に開幕する北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を前に、ロシア軍は6日未明、ウクライナの首都キーウにミサイルとドローンによる大規模攻撃を行った。この攻撃で20人以上が死亡し、約50人が重軽傷を負った。
ウクライナ軍によると、ロシア軍が発射したイスカンデル弾道ミサイル23発とジルコン巡航ミサイル6発はいずれも迎撃できなかった。一方で、ウクライナはロシアが発射したKh-101空対地巡航ミサイルやカリブル艦対地巡航ミサイルの大半を迎撃したほか、ロシア軍が投入したドローン351機のうち326機を撃墜した。
違いはロシアミサイルの速度だった。爆撃機や潜水艦などから発射される長距離巡航ミサイルは地形に沿って低空飛行するものの速度はマッハ0.7~0.9程度で飛行経路もある程度予測できるため、既存の防空システムでも迎撃が可能だ。
一方、マッハ7~9で飛来するイスカンデルやジルコンなどの極超音速ミサイルは、実質的にパトリオットでしか迎撃できないとされる。しかし、ウクライナではその迎撃弾が枯渇しているという。
ロシア軍もこうした状況を把握しており、極超音速ミサイルによる攻撃を強化している。戦争開始以降で最大規模とされた7月2日のロシアの攻撃でも、ウクライナ軍はイスカンデル弾道ミサイル74発のうち24発しか迎撃できず、ジルコン巡航ミサイル4発はすべて迎撃に失敗した。この攻撃では民間人31人が死亡し、100人以上が負傷した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はX(旧ツイッター)で「米国と欧州には、このテロを止める能力が十分ある」とした上で「パトリオット迎撃弾が同盟国の倉庫に眠ったままであれば、ロシアによる住宅への攻撃を助長するだけだ」と批判した。
ウクライナは現在、レーダーや指揮統制装置、発電設備、通信機器、発射機などで構成されるパトリオット防空システムを複数保有しているものの、迎撃弾はほぼ使い果たしたとされる。
米国製パトリオット迎撃弾は世界的に不足している。米国もイランとの軍事衝突で1日に数十発を使用したとされる。
例えば、米統合参謀本部議長ダン・ケイン氏は先月26日、カタールのアル・ウデイド空軍基地をイランの弾道ミサイル攻撃から防衛するため、米軍史上最大規模のパトリオット迎撃弾の発射を実施したと明らかにした。具体的な発射数は公表しなかったが軍事専門メディアによると、米軍は3月初旬の5日間だけで800発以上のパトリオット迎撃弾を使用したという。
米防衛産業企業のロッキード・マーティンは昨年、新型迎撃弾PAC-3を約620発生産した。このうち半数は米軍向け、残り半数は同盟国向けだった。ロッキード・マーティンは2030年までに年間生産能力を約2,000発へと3倍以上に拡大する計画を示している。PAC-3は1発約200万ドル(約3億2,400万円)とされる。
また、旧型PAC-2を製造するRTXも、年間生産能力を現在の240発から来年末までに420発へ増やす方針だ。
ウクライナは欧州のNATO加盟国の資金支援を受けてパトリオット迎撃弾を調達しており、この資金を活用して米国製に加え、ドイツの新工場で生産されるPAC-2約200発も発注する予定だ。ただし、この工場は今年末にようやく稼働する見通しで、実際の供給には時間がかかる。また、ウクライナも独自に弾道ミサイル迎撃システムの開発を進めているが、実戦配備には至っていない。
英国の調査機関がウクライナ政府の資料を分析したところ、ウクライナ軍は今年、ロシア軍の長距離ドローンの約90%、巡航ミサイル722発の約80%を迎撃したという。
一方、ロシア軍が発射した弾道ミサイル522発のうち約70%はウクライナの防空網を突破したという。ウクライナが保有するパトリオット迎撃弾の不足が続けば、この割合はさらに悪化する可能性がある。














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