南米チリのサンティアゴが、巨大な「紫色の波」に包まれている。単なるファンダムの落胆を超え、国家の文化行政の実態を問うARMY(BTSファン)の怒りが、国立宮殿へと向けられている。

芝生保護か行政の失策か…行き場を失った20万人の紫色の波
10月にサンティアゴ国立競技場で開催予定だったBTSの3回連続コンサートが、チリ政府の不許可により中止となった。チリ国立スポーツ研究所(IND)は、360度ステージを設置することで約600トンの荷重が芝生にかかり、競技場の芝を深刻に損傷させる恐れがあることや、その後に予定されているサッカー・チリ代表戦の開催に支障を及ぼす可能性があることを理由に挙げた。
しかし、ファンの怒りは収まらない。数百人の現地ファンは「BTSを国立競技場へ」というスローガンを掲げ、チリ権力の中心である「モネダ宮殿」周辺まで平和的なデモ行進を行った。デモに参加したあるファンは、「音楽と芸術は決して競技場を破壊しない」とし、「世界最高のアーティストとの交流を一方的に遮断したのは、チリ文化界に対する無礼な処置だ」と痛烈に批判した。
今回の最大の問題は、代替案がないことだ。現地プロモーターは最終的な会場承認を得る前にチケットを先行販売したが、3日間で約20万人を動員する大規模公演を受け入れられる施設は事実上ない。ビニャ・デル・マール、コンセプシオンなどの郊外都市が挙げられているが、圧倒的な収容人数の差と特別ステージ設置不可という現実的な制約から、代替案としては難しい状況となっている。
単なるコンサート中止をめぐる問題は、いまやチリ政界を揺るがす政治問題へと発展している。一部では、チリ政府が国内の政治課題から国民の関心をそらすため、世界的な影響力を持つBTS公演を「犠牲」にしたのではないかとの見方まで浮上している。野党も政府の文化イベント運営能力の欠如を厳しく批判し、決定に至るまでの経緯や情報公開を強く求めている。今回の事態が残す波紋は、容易に収まらない見通しだ。













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