「戦争の時計を巻き戻した」トランプ、対イラン空爆再開で“新たな60日間”を確保

ドナルド・トランプ米大統領はイランに対する軍事作戦の再開を米議会に通知した。これにより、議会の事前承認なしに大統領権限で軍事作戦を実施できる60日間の期限を新たに確保したとの認識を示しており、法的な是非を巡る議論が米政界で強まるとともに、中東情勢も再び緊迫している。
政治専門メディアのポリティコによると、トランプ大統領は10日、上院臨時議長のチャック・グラスリー上院議員(共和党・アイオワ州)宛ての書簡で「イランに対する新たな軍事作戦は7日に開始した」と通知したという。
トランプ大統領は書簡で「米国民の保護と国家安全保障、国益を守るため軍事行動を命じた」とした上で「これは大統領兼軍最高司令官として憲法で認められた権限に基づくものだ」と強調した。さらに、米軍は先週の間にイラン国内の300カ所を超える軍事目標を攻撃したと説明した。
今回の通知は米国の戦争権限法の制度上の隙を突いた政治的な対応との見方が広がっている。
米国憲法では戦争宣言の権限は議会にある。ただ、戦争権限法では、大統領は武力行使を開始してから48時間以内に議会へ通知すれば、事前承認を得なくても最長60日間にわたり軍事作戦を継続できる。60日を超えて軍事作戦を続けるには、議会の承認が必要となる。
これに先立ち、米国とイスラエルは2月28日にイランへの攻撃を開始したが、議会承認なしで軍事作戦を継続できる60日間の期限が迫ったことから、5月1日に「対イラン軍事作戦は終了した」とする書簡を議会に提出していた。4月にイランと結んだ短期停戦と了解覚書(MOU)を根拠に一旦軍事作戦を終結させた形を取っていた。
しかしトランプ政権は、イランがホルムズ海峡を航行する商船を攻撃し、MOUに違反したとして2カ月ぶりに軍事作戦を再開した。ホワイトハウスは一旦戦闘が終了した後に「新たな敵対行為」が始まったため、改めて60日間の期限が適用されるとの立場を示している。
これに対して議会は直ちに反発した。野党・民主党だけでなく、一部の与党・共和党議員からも「政権が法律を恣意的に解釈し、議会の戦争権限を事実上無力化した上で軍事作戦を際限なく続けようとしている」と批判する声が上がっている。
実際、米上下両院は先月、共和党が多数派を占める中でも、イランとの軍事衝突から米軍の撤退を求める決議案を超党派で可決した。これに対してトランプ大統領は、賛成票を投じた議員らについて「イランを利する行為だ」と強く非難した。
また、トランプ大統領は軍事作戦の再開表明と合わせて、湾岸地域におけるイラン船舶への海上封鎖を再開すると発表した。さらに、世界のエネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡を航行する商船の安全を確保する見返りとして「通行料」を徴収する考えも示した。
トランプ大統領は「米軍は追加の脅威に対処し、イラン政府がこれ以上脅威とならないように必要かつ適切な追加措置を講じる態勢を維持している」と述べ、強硬姿勢を崩さなかった。















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