
日産が電気自動車業界の主導権を取り戻そうとする動きを見せている。
最近公開された2件のバッテリー関連特許は、単なる技術改良の域を超えて、電気自動車の走行距離と効率を根本から変える可能性を秘めている。
爆発リスクを克服し革新へ…ガス制御技術まで実現した日産の次世代バッテリー実験
「バッテリーは電気自動車の心臓」とされるように、日産はその心臓部分を新たに設計しようとしている。同社が注目する技術は「リチウム-エア」バッテリーだ。既存のリチウムイオンバッテリーはすでに限界に達している状況だ。
リチウム-エアバッテリーは理論上、はるかに高いエネルギー密度を提供できるが、発熱が多く寿命が短いという弱点があった。

日産の最初の特許はこの問題を解決するもので、リチウム酸化物と触媒、ゲルポリマーを組み合わせた電極層を使用する。さらに外部の空気を遮断する密閉型構造を採用し、エネルギー損失を低減した。
2つ目の特許は過充電時に発生する酸素ガスの問題に対処する。日産はリチウム酸化物電極表面に「分岐型高分子」コーティングを施し、ガスの漏出を防止した。これにより内部圧力の上昇を抑え、バッテリーの損傷を防ぐ仕組みだ。
「約800キロメートルも余裕」日産、走行距離の常識を塗り替える
理論上、このバッテリーは既存のリチウムイオンバッテリーと比べて約2~3倍以上の高いエネルギー密度が期待できる。
例えば、現在の中型電気自動車のバッテリーパックを約480キログラムと仮定すると、平均効率15~20キロワットアワー/100キロメートル基準で約430~580キロメートルの走行が可能だ。
固体電池技術が適用されれば約860~1,150キロメートル、リチウム-空気技術がパック基準約500~800ワットアワー/キログラム級で実現される場合、約1,200~2,500キロメートルまで伸びるという計算結果が出ている。東京から大阪を往復してもなお余裕がある距離だ。
日産は2029年までに固体電池を商用化する計画する目標を掲げている。リチウム-空気技術はそれよりもさらに先を行く次世代電池で、まだ実験段階だが潜在力は大きい。
バッテリーの重量と製造コストを削減しながら効率を高められるため、電気自動車の普及を後押しする技術として評価されている。
これまでバッテリー技術は「より遠くへ走るにはより多くのバッテリーを積まなければならない」というジレンマに陥っていた。日産の試みはこの常識を打ち破ろうとする第一歩だ。同じ重量でより遠くを走る時代、その可能性の扉が徐々に開かれつつある。













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