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文書なき「口約束外交」で日本が米国に譲歩?日米関税合意の裏で失われる主権と信頼

竹内智子 アクセス  

引用:YouTube

日米の関税協議が合意に達したにもかかわらず、日本政府が「共同合意文書」を作成しなかったことを巡り論争が巻き起こっている。日本側は「解釈の曖昧さ」を活用して交渉上の利益を最大化しようとしているが、今後、米国との意見の相違から摩擦が生じる可能性に懸念の声も上がっている。

朝日新聞は29日、「米日関税協議の合意後、合意文書が存在しないという事実が波紋を広げている」と報じ、「与野党を問わず政界から疑問の声が上がっている」と伝えた。

政府は23日、米日関税協議の代表である赤沢亮正経済再生担当相がトランプ大統領と直接会談し、互いに課す関税を、米国側が脅していた25%から10%引き下げて15%に、自動車品目別の関税は半減して12.5%(従来の2.5%関税と合わせて15%)などで合意した。しかし、両国は大規模な関税協議の成果をまとめながらも、合意内容を文書化しなかったことに疑問が投げかけられている。

赤沢経済再生担当相も最近NHKの番組で「現時点で合意文書を作成するのは適切ではない」と述べ、この事実を隠さなかった。彼は合意文書の作成よりも実質的な関税引き下げを優先する趣旨から、「合意文書が作成された後に関税引き下げが始まるとは望ましくない」と語った。

また、政府が今後も合意文書を作成する意向がないとの見方も出ている。朝日新聞によると、政府の関係者は「交渉の基本は、我々が得るものを明確にし、譲歩すべき点は曖昧にすることだ」と述べた。さらに「合意文書があれば日本が縛られることになる」とし、「共同合意文書を作成する意味はない」と付け加えた。両国間で合意された内容を確定文書にしないことで、「解釈の違い」を利用し今後も日本側に有利な状況を作り出そうとする意図が見て取れる。

しかし、両国は既に合意した関税協議について異なる主張を展開している。日本がボーイング機100機と、年間数十億ドルの防衛装備品を「追加購入」するという米国側の主張が代表例である。これに対し日本側は「ほとんどが関税協議以前に購入が決まっていたものであり、新たな追加購入はほとんどない」と説明している。

日本が5,500億ドル(約81兆7,689億円)規模の対米投資を約束したという内容についても、米国側は「ドナルド・トランプ米大統領の主導で日本が5,500億ドルを投資し、米国が利益の90%を得る」と述べている。一方、日本側は「金額のほとんどが融資、保証を含むものであり、実際に資金が投入されるのは全体の1~2%にすぎない」との立場だ。

両国が数十兆円規模の交渉を行いながら合意文書を作成しなかったこと自体が異例だという分析も出ている。米通商代表部(USTR)のウェンディ・カトラー前副代表は日本経済新聞への寄稿で、「米日両国の資料から判断すると、今回の合意は『独特』であることが分かる」と述べ、「関税率の発効時期、例外措置の有無、自動車部品の関税引き下げに含まれる製品範囲など、合意の詳細が明確でない」と指摘した。カトラー前副代表は「合意内容を文書化することは非常に重要だ」とし、「今後、意見の相違や摩擦を引き起こす可能性があるため」と強調した。

政界でも疑問の声が上がっている。日本維新の会の前原誠司共同代表は「(合意文書がないために)米日間で好き勝手なことが言える可能性がある」と懸念を示した。自民党内でも高市早苗前経済安保相が「首脳間で合意文書を具体化する必要がある」と指摘した。

朝日新聞は「日本政府が今回の協議を通じて10兆円の損失を回避した代わりに、失うのは数百億円程度だと説明しているが、詳細な合意文書がないため、この認識が米国と共有されているかは不透明だ」と分析している。

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