
エジプトの首都カイロ近郊ギザで世界最大級の大エジプト博物館が開館したことを受け、ドイツ・ベルリンに所蔵されるネフェルティティ王妃の胸像を母国に返還するよう求める声が、エジプト国内で再び強まっている。
米紙「ワシントン・ポスト」によると、エジプトの考古学者や市民社会は近ごろ、胸像の返還を求める大規模なキャンペーンを展開している。ネフェルティティ王妃の胸像は、紀元前14世紀の古代エジプトでファラオのアケナトンの王妃を表した遺物で、現存するエジプト美術の中でも屈指の傑作とされる。
胸像は1912年、ドイツ人考古学者ルートヴィヒ・ボルハルト率いる発掘隊が発見し、その後ドイツへ移された。現在はベルリンの新博物館に展示されている。
返還をめぐっては、ドイツ側が当時の手続きに基づく合法的な取得だという立場を崩していない。一方、エジプト側は植民地期の分配が公正ではなく、価値を過小に申告して持ち出した疑いがあるとして、実質的に略奪に近い形で流出したとの見方を示している。
返還運動に関わるエジプトの考古学者モニカ・ハンナ氏は、ネフェルティティはエジプトにあるべきだと訴え、新博物館の開館によって、国外に遺物を置き続ける理由はもはや成り立たないと強調している。元文化財相のザヒ・ハワス氏も返還を求める請願を進め、欧州の博物館の方が安全だという従来の主張は説得力を失いつつあると主張している。
一方、ドイツ側は胸像が極めて脆弱だとして、返還や長期貸し出しは困難だとの姿勢を示している。関係者は、問題は展示環境ではなく輸送に伴うリスクにあるとしており、政治レベルでの協議が必要だとの認識も示した。
胸像は「ドイツのモナリザ」と呼ばれるほど象徴性が高く、ベルリンの博物館にとっても中核的な展示品である。返還論が強まる一方、文化財の帰属や移送の可否をめぐる対立は、当面続く見通しだ。
















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