
かつて「メタ(Meta)」の象徴とされた仮想現実(VR)・拡張現実(AR)部門「リアリティ・ラボ(Reality Labs)」で、大規模な人員削減が行われる見通しだ。対象は従業員の約10%に当たる1,500人で、順次解雇通知が出されるという。同社の中でもトップクラスのエンジニアとして高額な報酬を受け取ってきた彼らは、物価高に合わせて生活費や住宅費を支出してきたため、再就職がかなわなければ生活が立ち行かなくなる恐れもある。
匿名職場口コミアプリ「ブラインド」には、「メタバース事業を拡大するとして社名まで『メタ』に変更したのではなかったのか」と、社員からの不満や抗議の声が相次いでいる。
また、会社から専門職向けビザの支援を受けていた社員は、新たな勤務先が見つからず、転職時にビザの継続に必要な企業の支援を得られなければ、国外退去を余儀なくされる恐れがある。あるエンジニアは、「専門職ビザの申請にかかる費用は10万ドル(約1,550万円)にまで跳ね上がっている。失業状態の人に対して、どの企業が気軽に支援してくれるだろうか」と語った。
メタの本社から車で約30分の場所にある、アマゾンのサニーベール·キャンパスも、状況はよく似ている。ここには、アマゾンのAI研究拠点である「Amazon Lab126」が置かれている。
アマゾンは昨年1月、Lab126内にエージェンティックAIの専門チームを新設し、この拠点を汎用人工知能(AGI)開発の前線基地と位置づけた。主力事業はシアトル本社が担っているものの、ここでは「Amazon Echo」に代表されるハードウェアとソフトウェアの開発を担当し、将来の事業を構想する役割を担っている。
アマゾンは昨年から、約30年ぶりとなる最大規模の人員削減に踏み切っている。昨年10月には約1万4,000人を解雇し、今年1月28日にはさらに約1万6,000人に解雇通知を出した。背景には、実店舗を中心としたオフライン流通の分野で自動化やロボット化が進み、「Amazon Go」や「Amazon Fresh」といった店舗の閉鎖が相次いでいることがある。

アマゾンの頭脳ともいえるこのサニーベールも、1万6,000人規模の人員削減の対象となった。音声アシスタント「Alexa」や「Prime Video」、デバイス関連部門の社員が解雇の対象となった。実店舗の閉鎖や無人店舗事業の大規模縮小ほどではないものの、解雇対象となった事実は社員に衝撃を与えた。かつて彼らの手で推し進められた工場の自動化が、再び解雇という形で社員に跳ね返ってきた形だ。
ロサンゼルスやサクラメントなど数十の施設が閉鎖され、カリフォルニア州だけで約3,850人が解雇された。退勤途中に出会った中国系社員は、「ハードウェア研究やソフトウェア開発が主な業務なので、他の事業部に比べると解雇の影響は大きくない」としつつも、「社員の立場からすると解雇は好ましくない兆候だ」と語った。
一方、アマゾンの社員たちは、予告なしの解雇を経営陣の無策とみなし批判した。ある社員は、「解雇の3か月前までAmazon Fresh事業で人員を採用していたが、早く対応していれば解雇はもっと少なくできたはずだ」と述べた。このような不満は、アマゾンの不買運動の兆しにまで広がっている。
企業の解雇状況を追跡するサイト「Layoffs.fyi」によると、昨年サンフランシスコ湾一帯に本社を置く技術企業では、約4万人が解雇されたという。これは、OpenAIとAnthropicの全社員を合わせた人数の約4倍に相当する。また、雇用情報プラットフォーム「Indeed」とベンチャーキャピタル「SignalFire」の分析では、サンフランシスコの求人広告数は2020年2月から2025年10月までに37%減少し、2019年以降、全米15大技術企業の新卒採用も55%減少している。
2013年12月、当時のバラク·オバマ米大統領は「Hour of Code(アワー・オブ・コード)」キャンペーンで、「アプリをダウンロードするだけでなく、自分で開発してみよう」と呼びかけ、週に1時間のコーディング学習を推奨した。ビル·ゲイツ·マイクロソフト(MS)創業者も、今後のAI時代にはコーディングが重要になると述べていた。
大統領やビッグテックのリーダーたちがAIの可能性を華々しく予見すると、世界中からコーディングの才能を持つ人材がシリコンバレーに集まった。しかし、その後AIがコーディングを自動化するにつれて、彼らの価値は急速に薄れていった。
グローバルコンサルティング会社の関係者は、「彼らよりもはるかに安い年俸に相当するサブスクリプション料を支払えば、AIプログラムを一日中稼働させることができる」と指摘し、「創造性や想像力、人を説得する必要もなく、一人でコンピュータを見ながら高額年俸を得ていたエンジニアは、居場所を失った」と述べた。
昨年12月、米国全体の非農業雇用は前年同月比で58万4,000件(0.4%)増加した一方、カリフォルニア州では1万1,200件(0.1%)減少した。月間非農業雇用が前年を下回ったのは、2021年3月以来、約5年ぶりとなる。
地域紙「サンフランシスコ·スタンダード(San Francisco Standard)」は、「AI好況の一方で、サンフランシスコの技術雇用はそうではない」と指摘した。「サンフランシスコがAI好況の中心地であることは明らかだが、この都市では数千の技術職が失われている」と報じた。
















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