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「関税爆弾失速か」…米最高裁がトランプ関税に“違憲判断”、政権は“プランB”発動も前途多難

有馬侑之介 アクセス  

引用:Depositphotos
引用:Depositphotos

20日、米連邦最高裁判所がドナルド・トランプ米大統領による国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく関税措置を違法とする最終判断を下したことを受け、トランプ大統領は直ちに新たな通商法を用いた「プランB」で対抗に乗り出した。

しかし、プランBは時間的制約や手続きの複雑さから、従来のように広範かつ即効性のある効果をもたらすのは難しいとの見方が強い。

このため、これまでトランプ大統領が“切り札”として振りかざしてきた高関税政策の威力は大きく低下する可能性がある。

ブルームバーグ通信も、プランBは適用範囲が限られ、複雑な手続きのため実施までに相当な時間を要するとの見通しを示した。

トランプ大統領は判決直後の20日、既存関税の代替措置として通商法122条を発動し、すべての輸入品に10%の関税を課す署名した。その翌日、税率を15%に引き上げる方針を明らかにした。

同条項は深刻な国際収支赤字が発生した場合、大統領が単独で発動できるが、税率は最大15%、適用期間も最長150日に制限されている。

その後の延長には議会の承認が必要となる。しかし現在、議会では共和党が辛うじて過半数を占めるにとどまり、民主党に加えて一部共和党議員もトランプ大統領の通商政策に反発していることから、承認を得るのは容易ではないとみられる。

トランプ大統領が次に打ち出す可能性があるのは通商法301条だ。同条は外国の不公正な貿易慣行に対抗するため、米国通商代表部の調査を経て、大統領が関税や輸入制限などの報復措置を発動できる権限を定めている。

通商法301~309条を包括し、1988年の包括通商・競争力法で強化された規定は「スーパー301条」と呼ばれる。これはこれまでの貿易紛争において、米政府の「切り札」とされてきた。

トランプ大統領は、まず通商法122条を発動して15%の一律関税を課したうえで、通商法301条を本格的に適用し、関税を長期的に維持する方針を検討しているとみられる。

しかし問題は時間だ。スーパー301条は、相手国との協議や連邦官報での公示、公聴会の実施などを義務付けている。手続きに不備があれば、その後の訴訟で敗訴する可能性もある。

過去に中国や欧州連合(EU)を対象に行われたスーパー301条の調査でも、実際に関税が発動されるまでに6か月から1年以上を要した。

今回は世界の主要国を同時に対象としなければならない。調査を担う米通商代表部(USTR)の人員を踏まえると、150日以内に実効的な措置を完了させるのは現実的に難しいとみられる。

このほか、トランプ大統領が利用できる措置としては、1962年通商拡大法232条、通商法201条、関税法338条などがある。

1962年通商拡大法232条は、特定の輸入品が国家安全保障上の脅威となるかどうかを商務省が調査し、その結果に基づいて大統領が措置を決定する仕組みだ。法定の調査期間は最長270日に及び、対象も鉄鋼やアルミニウムのような特定品目に限られる。

通商法201条は、輸入の急増によって国内産業が被る被害を防ぐための緊急輸入制限措置だ。独立機関である米国国際貿易委員会(ITC)の調査や公聴会を経て、産業への直接的な損害を立証しなければならず、発動のハードルは非常に高い。

関税法338条は1930年代に制定された規定で、米国製品を差別する国に対し最大50%の関税を課すことができる。

しかし実際の適用例はほとんどなく、事実上は死文化した条項とみられている。トランプ大統領がこれを使用した場合、法的な問題に直面する可能性が高い。

すでに民主党の下院議員らは昨年3月、トランプ大統領による338条活用の可能性を警戒し、この条項の廃止を求める決議案を採択している。

このように「プランB」は手続きが複雑で包括性にも欠けるため、IEEPAを用いた場合のような即時かつ全面的な効果は期待しにくいとみられる。その結果、トランプ大統領がこれまで振るってきた“関税爆弾”の威力は弱まる可能性が高い。

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