
ウクライナ戦争が4年以上にわたって長期化する中、外交による打開に国際社会の関心が集まっている。協議の場でロシアは、ウクライナに対し東部ドンバス(ドネツク州、ルハンシク州)の放棄と、北大西洋条約機構(NATO)への加盟断念を求めている。一方、ウクライナの立場は正反対で、交渉の先行きは明るいとは言い難い。
ベルギー駐在ロシア大使館は18日(現地時間)、ロシア紙イズベスチヤに対し、ロシアはNATOに「東方拡大を行わない」との条項を明文化するよう要求する考えだと述べ、近い将来に軍事同盟の非拡大を文書で固定すべきだとの立場を示した。同紙は、ロシア政府が2021年12月に米国と西側同盟国へ示した「安全保障の保証に関する条約草案」を改めて求める趣旨だと伝えている。
2021年の草案には、NATOが追加の加盟国を受け入れないことに加え、1997年以降に加盟した国への兵力や兵器の配備を停止するよう求める内容が盛り込まれていた。ポーランド、チェコ、ルーマニア、バルト3国(ラトビア、リトアニア、エストニア)など東欧からNATO部隊を引き揚げる要求に当たり、西側は事実上「NATOを解体せよ」という要求だとして受け入れなかった。その後、ロシアは2022年2月24日にウクライナへの全面侵攻に踏み切っている。
米国の戦争研究所(ISW)は最近の報告書で、ベルギー駐在ロシア大使館の発言は、ロシアがNATOの解体を含む当初の戦争目標を引き続き追求する姿勢を改めて示したものだと分析した。
ロシアが掲げてきた「NATOの東方拡大阻止」は、開戦当初からの主要な大義でもある。西側とロシアの間に位置するウクライナをNATOの影響圏から切り離して安全保障上の脅威を除くとともに、モルドバ、ジョージア、アルメニアなど黒海周辺の国々へ親西側世論が広がるのを抑える狙いがあるとされる。
イズベスチヤは、モスクワは旧ソ連構成共和国を対象とするNATOの東方拡大を国家安全保障への重大な脅威と見なしているとし、長期的にはNATO拡大がウクライナやモルドバにとどまらず、南コーカサスの国々にも及び得る点をロシアが懸念しているとも報じた。
ロシアが終戦条件として求めるもう一つの柱は、ウクライナ東部ドンバスの領有権にある。ドンバスは鉱工業の中心地で、ロシア本土とウクライナ南部のクリミア半島占領地を結ぶ戦略的要衝とされ、ロシア系住民の比率が高い地域でもある。ロシアは開戦初期に首都キーウへの攻勢が頓挫した後、ドンバス攻略へ兵力を集中してきた。現在、ロシアはルハンシク州のほぼ全域とドネツク州の約80%を占領しているという。
ロシアが交渉でドンバスを得ようとする背景には、武力で制圧を進める場合の人的損失が大きいという事情もある。ウクライナはドネツク州に残る主要都市クラマトルスク、スロウヤンシク、コスチャンティニウカなどを要塞化して持ちこたえているとされる。
ISWは、昨年のロシアの進軍が1日平均13㎢で、1㎢を占領するのに平均78人の死傷者が出たとの推計を示した。ドネツク州に残る5,000㎢超のウクライナ支配地域を占領するには、1年以上かけて数十万人規模の犠牲が生じ得る計算になる。
一方、ウクライナは領土要求をレッドラインとして譲歩しない姿勢を崩していない。報道によると、先月23日と24日、今月17日と18日に開かれた米国、ウクライナ、ロシアの3者協議でも、ウクライナ側はロシアのドネツク州領有権の主張を退けたとされる。ドネツク州の先はキーウに向けて平野が広がり、要塞線も乏しいことから、ここを失えば新たな侵攻路が開かれるとの警戒が強いという。これに対し、米国側が提案した、ロシアとウクライナが双方撤退して非武装地帯または経済自由区域を設ける案については、検討の余地があるとの見方も示している。
NATO拡大を巡っても、交渉はつまずき得る。ウクライナは終戦後、米国など西側が部隊駐留などを通じて強力な安全保障を提供することを望んでいる。実際にフランスや英国などは、戦争が終結すれば「安保部隊」を派遣する方針だとされる。NATO主要加盟国の部隊配備をロシアが受け入れるかは見通せない。
















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