
2月28日(現地時間)、米国とイスラエルがイランに対する大規模攻撃「エピック・フューリー作戦(Operation Epic Fury)」を実行したなか、イランによる激しい反撃を防ぐには数兆円の費用を要するとの分析が明らかになった。
ウクライナの軍事専門メディア「ディフェンス・エクスプレス」は2日、「イランが中東全域の目標に向けてミサイル770発以上を発射し、史上最大規模の同時多発的な弾道ミサイル攻撃を行った」と伝えた。同メディアは「今回の攻撃規模は西側の軍事専門家の間で議論を呼んだ」とし、「迎撃ミサイルの価格が破壊対象のミサイルより30倍も高い『消耗戦』に、果たして米国と同盟国が対応しきれるのかという疑問が提起されている」と付け加えた。
報道によると、2月28日の米軍による空爆直後、イランはイラク、クウェート、バーレーン、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、サウジアラビア、ヨルダン、イスラエルを標的に弾道ミサイル数百発を発射した。UAEはイランの弾道ミサイル165発を追跡して152発を迎撃し、クウェートとカタールは合わせて162発を迎撃したとされる。イスラエルは自国の防空網を総動員し、イランの弾道ミサイル370発以上を無力化した。
攻撃を受けた中東諸国はイランのミサイルによる被害を最小限に抑えることに成功したが、同時に莫大な「請求書」を受け取ることとなった。「ディフェンス・エクスプレス」によると、イスラエルなどが保有する防空システムは一般に「迎撃率99%」を誇るが、防御理論上、弾道ミサイル1発を迎撃するには2発の迎撃ミサイルを発射しなければならない。これが膨大な「財政的不均衡」を招く要因となっている。
■ ミサイルより高額な迎撃費用、負担の行方は
「ディフェンス・エクスプレス」は専門家の話として、「イランの弾道ミサイル1発あたりの生産コストは数十万ドルに過ぎない」と指摘。一方で「パトリオットシステムに使用されるPAC-3 MSE迎撃ミサイルのコストは、米陸軍基準で1発あたり517万ドル(約7億8,000万円)、サウジアラビアなど海外同盟国にはユニットあたり最大1,200万ドル(約18億1,000万円)で販売されている」と伝えた。
米国が開発したパトリオットは、短距離弾道ミサイルや巡航ミサイル、高性能航空機を迎撃するために設計された地対空ミサイルシステムだ。パトリオットは迎撃方式によってPAC-2とPAC-3に分類される。PAC-2は標的付近で爆発して破片で破壊し、PAC-3は直接衝突(ヒット・トゥ・キル)方式で目標を無力化する。
報道によれば、パトリオットシステムだけでイランのミサイル400発を迎撃した場合、そのコストは41億ドル(約6,180億円)から最大96億ドル(約1兆4,480億円)に達するという。
ノルウェーの防空専門メディア「ノルスク・ルフトヴェルン」は「攻撃と防御の間の経済的非対称性は、体系的に攻撃側に有利に働く」とし、「昨年の『十二日間戦争』の際、迎撃ミサイルだけで20億〜40億ドル(約3,020億〜6,030億円)を要した。一方でイランのミサイル生産コストはそれを大幅に下回っていた」と分析した。
■ 生産速度が需要に追いつかない懸念
迎撃ミサイルの生産速度が、イランのミサイル増産ペースに追いつけない可能性も浮上している。
「ディフェンス・エクスプレス」は「ロッキード・マーティンは2025年の1年間でPAC-3 MSEを計620発生産した」とし、「今回の戦争により数日間で消耗する可能性があるミサイル800発を補うには、現在の生産能力では15.5か月間休まずに稼働し続けなければならない」と指摘した。
ロッキード・マーティンは最近、米国国防総省と迎撃ミサイルの年間生産量を現在の3倍となる2,000発に増やす契約を締結したが、この目標が早期に達成される見込みは薄い。さらに、中東地域で迎撃ミサイルの備蓄が枯渇することは、他の紛争地域にも直接的な影響を及ぼす。ウクライナは以前からパトリオットミサイルのライセンス生産拡大を繰り返し求めており、「これが防空能力の枯渇を防ぐ唯一の選択肢だ」と主張してきた。
■ 安価な代替手段の模索
イランが保有する弾道ミサイルが少なくとも2,000発に達するとされるなか、開戦4年目に入ったウクライナは、自国の経験に基づいた解決策を提示している。
ウクライナ空軍は2月24日、「ロシアが短期間に数千機のドローンを投入できる能力を持つ以上、ミサイルのみによる迎撃は経済的に持続不可能だ」とし、「大規模なドローン攻撃から領土を保護するため、多層的な防空システムに安価なFPV(一人称視点)迎撃ドローンを組み合わせている」と発表した。
低コストで高速なFPVドローンや滞空型兵器は、パトリオットより遥かに安価な費用で空中標的に衝突・破壊するよう設計されている。ウクライナは長期化する戦争において防空コストを抑えるべく、迎撃ドローンの自社生産と効率化を推進している。
ただし、ウクライナの事例は主にドローンに対する防御に集中しており、高速な弾道ミサイルをいかに経済的に迎撃するかについては、依然として新たな技術的・経済的手段を見出す必要があるとの声が上がっている。













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