欧州委員長「イラン情勢下でも、無差別なエネルギー支援は認められない」

欧州連合(EU)のウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長は29日、イラン情勢が原油やガス価格に影響を及ぼす中、EU加盟国が主に脆弱な家庭や産業へのエネルギー支援を行わなければ、数十億ユーロ規模の損失を招く恐れがあると警告した。
米国・イスラエルとイランの軍事衝突を受け、イランがホルムズ海峡の封鎖で報復に出る可能性が指摘されており、EUでは1日あたり約5億ユーロ(932億5,000万円)の経済損失が生じているとされる。ガソリン価格の上昇に加え、数週間以内に航空燃料が不足するのではないかという懸念も強まっている。
フォン・デア・ライエン委員長は、EUは2022年の燃料危機の教訓を想起すべきだと述べた。当時、ロシアはウクライナへの欧州各国の支持を弱めるため、エネルギーを武器に欧州へ圧力を強めていた。
同委員長は、フランス・ストラスブールで開かれた欧州議会で、議員らに対し「当時、3500億ユーロ(約65兆3,000億円)以上が無差別に支出され、加盟国の財政に大きな影響を与えた。同じ過ちを繰り返さず、最も重要な分野に支援を集中させるべきだ」と述べた。
また、欧州がロシアへのエネルギー依存を断ち切ったように、今後は風力や太陽光、原子力といった再生可能エネルギーをより有効活用し、外部からの供給依存を終わらせるべきだと指摘した。その上で「輸入化石燃料への過度な依存は、私たちを脆弱にする」と強調した。
さらに、2022年のロシアのウクライナ侵攻開始以降、EUのロシア産ガスの輸入比率は45%から昨年は12%に低下したほか、制裁により石炭輸入は全面禁止となり、石油の輸入比率も2022年の27%から2%へと減少した。一方で、ハンガリーとスロバキアのみが依然としてロシアからの輸入を継続している。
フォン・デア・ライエン委員長は、イラン情勢の影響について「今後数か月、あるいは数年にわたり続く可能性がある」と述べ、エネルギー自立への道は「再生可能エネルギーから原子力に至るまで、国内で安価かつクリーンなエネルギーを供給することにある」と語った。
同委員長はEU各国に対し、再生可能エネルギーや原子力発電で生み出された電力の活用を拡大し、輸送機関や航空機の運航、家庭の暖房、産業部門における化石燃料への依存度を引き下げるよう促した。
現在、電力がEU全体のエネルギー消費に占める割合は4分の1にも達していない。
また、欧州連合のエネルギー担当委員であるダン・ヨルゲンセン氏は先週、イラン情勢について「一時的な小幅値上げにとどまらないだろう。1973年と2022年の危機を合わせたほど深刻な危機になる」と警告した。
同氏は、欧州は防御的な姿勢を取らざるを得ず、情勢をコントロールできる余地はほとんどなかったと付け加えた。
さらに、「最善のシナリオを想定しても、依然として厳しい状況だ」としたうえで、「供給危機が再び起こるかどうかは主に中東情勢にかかっている。われわれにできるのは被害を防ぎ、最小限に抑えることだ」と述べた。















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