
中国とインド、東南アジアの国々が「スーパーエルニーニョ」に備えている。赤道近くの太平洋の海面温度が平年より2.0度以上上昇する現象が現れ、各国に干ばつをはじめとする異常気象の危険が高まるという見通しからだ。今年のスーパーエルニーニョは1950年以降最も強力なレベルになるという予想が出ている。ロシア・ウクライナ戦争の影響で農産物の価格上昇の可能性も高い。

米海洋大気庁(NOAA)や気象庁(JMA)などは10日前後にエルニーニョ観測事実を公式発表した。2023~2024年以降2年ぶりだ。エルニーニョは大気循環を変え、東南アジアやオーストラリアなど西太平洋地域では干ばつ・山火事の危険を、南米沿岸では豪雨・洪水の危険を高める。
NOAA気候予測センターは、今回のエルニーニョが11月から来年1月の間に歴代級の強さに発展する確率を63%と見込んでいる。地球温暖化で温かくなった海水が赤道太平洋の海面下に異例なほど集中していることに加え、西風が強まっていることが主な根拠だ。
これによりアジアの国々はスーパーエルニーニョに対応するため本格的に準備を進めている。ブルームバーグによると、インド農業・農民福祉省は23日、干ばつ対策を議論したという。今月1日以降、インド全土のモンスーン(夏季の南西風がもたらす雨季)降水量が平年の58%にとどまったためだ。
当局は農民に豆類や菜種、ミレットなど栽培期間が短く水が少なくて済む作物への転換を求めた。先月13日にはサトウキビの収穫量減少に備え、9月末まで砂糖の輸出を禁止すると発表した。
1950年以降、最も強力な2015~2016年のスーパーエルニーニョで深刻な被害を受けた東南アジアの国々も緊張している。当時インドネシアは国内総生産(GDP)の1.9%に相当する161億ドル(約2兆6,000億円)規模の山火事被害を受けた。ベトナムは6億7,400万ドル(約1,088憶9,000万円)の経済的損失を、フィリピンは3億2,700万ドル(約528億3,000万円)の農業生産損失を被った。マレーシアではパーム油の生産量が約13%減少し、価格が23%ほど上昇した。
インドネシア農業省は「ゴジラ級のエルニーニョで6か月間干ばつが発生する可能性が高い」とし、食料備蓄量を史上最大水準に維持すると明らかにした。4月初めの時点で米は440万トン、トウモロコシは16万8,000トンまで増やした。フィリピンは稲の播種時期を前倒しするか、被害を受けにくい緑豆などに作物を転換する案を示した。降水量が大幅に減少すれば人工降雨も検討する方針だ。
スーパーエルニーニョが現実化すれば世界の食料供給と価格に及ぼす影響は2028年まで続くという懸念も出ている。気候リスク分析会社「Risilience」の創業者であるAndrew Coburn氏は「小麦、米、トウモロコシ、大豆など4つの作物は世界のカロリー消費量の60%以上を占める」とし、「全地球的なエルニーニョが発生すれば、異なる大陸で気象異常が一斉に起こり作況不振が複数の地域で同時多発的に現れる」と説明した。
Coburn氏は主要原材料全般に10~50%の価格ショックが現れる可能性があると予測した。エルニーニョに脆弱な米、パーム油、サトウキビ、コーヒーなどは価格が50~100%またはそれ以上上昇する可能性も指摘されている。インド、ベトナム、タイなどが自国民を保護するため輸出禁止に乗り出せば、関連作物の価格が世界的に急騰する。
ホルムズ海峡の不確実性も物価ショックを増幅させる。ホルムズ海峡が制御されている間、肥料として使用される中東産尿素の価格が急騰したためだ。最近価格が50%が下落したが、今年の農産物生産には少なからぬ打撃を与えたと見られる。
気温上昇に伴う電力需要拡大に備える動きも見られる。冷房需要の拡大を予想したもので、スーパーエルニーニョがエネルギー価格の上昇要因になる可能性があるという分析が出ている。中国は夏季の電力需要のピークが前年に比べ約6%増加すると予想した。火力発電用の石炭を30日分以上備蓄しており、4月まで1億キロワット(㎾)規模の発電設備も新たに設置した。
■ エルニーニョ
赤道近くの中部・東部の熱帯太平洋で海面温度が平年より0.5度以上上昇する海での温暖化現象。ペルーの漁民がクリスマスの頃に現れる暖かい海流をスペイン語で「男の子」を意味する「エルニーニョ」と呼んだことに由来する。













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