かつて倒産危機に追い込まれた東芝の半導体事業部の社員たちが、AI半導体ブームに乗り、1人あたり10億円を超える資産家として浮上している。
日本経済新聞によると、日本のメモリー半導体大手キオクシアホールディングスの社員約600人は現在、1人あたり10億円以上の株式資産を保有していると推定される。
キオクシアの前身は東芝メモリだ。東芝は、電源を切ってもデータが消えないNAND型フラッシュメモリーを世界で初めて開発した企業として知られる。
しかし、米原発事業の損失や不正会計問題が重なり、2016〜2017年に累計1兆円を超える損失を計上した。経営再建のため、東芝は中核事業だったメモリー半導体部門を売却した。2018年、米ベインキャピタルが主導する日米韓連合が同事業を買収し、キオクシアを発足した。
ベインキャピタルは買収の過程で、最高経営陣だけでなく、部長・課長級を含む一般社員約600人にもストックオプション(株式購入権)を付与した。行使価格は1株あたり1,667〜2,600円ほどだった。

投資ファンドが企業を買収する際、ストックオプションは経営陣を中心に付与されることが多い。しかし、ベインキャピタルの日本投資チームは、日本企業では現場を支える管理職や技術者の役割が大きいとして、企業価値向上の果実を社員とも分かち合うべきだと本社を説得したとされる。
この判断は、AI時代に入って大きなリターンを生んだ。
AIデータセンターの拡大により、NAND型フラッシュメモリーや企業向けSSDの需要が急増。キオクシアの株価は、2024年12月の東京証券取引所上場時の公開価格1,455円から大きく上昇し、最近では10万円を突破した。6月22日には年初来高値の11万2,700円まで急騰した。
キオクシアは一時、トヨタ自動車を上回り、時価総額で日本企業の首位に立った。AI投資の拡大が、日本株市場の主役の顔ぶれまで変えつつあるとの見方も出ている。
社員に付与された約700万株を年初来高値で計算すると、総額は約7,900億円に達する。これを当時ストックオプションを受け取った社員数で割ると、1人あたりの平均評価額は10億円を超える計算だ。
日本経済新聞は、AI革命について、新しい産業を生み出すだけでなく、企業成長の果実を誰がどのように受け取るのかという利益配分のあり方まで変えつつあると指摘している。

















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