
米国を訪れる外国人旅行者が減っている。ドナルド・トランプ政権による不法移民の取り締まり強化や関税をめぐる対立が、対外イメージの悪化につながったとの見方が出ている。
日本経済新聞が24日、米商務省のデータを基に報じたところでは、昨年1~11月に米国を訪れた外国人旅行者は6,237万人となり、前年同期比で5.4%減った。年間ベースでの減少は、新型コロナウイルス禍以降で5年ぶりだという。
国連世界観光機関(UN Tourism)によると、同期間の世界全体の旅行者数は4.2%増えた。世界の観光需要が回復基調を続ける一方、米国だけが逆行している格好になる。
背景として、トランプ政権の反移民政策が挙げられる。政権は昨年6月、アフガニスタンやラオスなど19か国を対象にビザ発給を制限し、今年1月には対象国を75か国へ広げた。
米移民・税関執行局(ICE)の取り締まり強化も、米国を避ける動きを後押ししたとの分析がある。取り締まりの過程で、観光ビザで入国した人が拘束されるケースも出たという。
関税交渉をめぐる摩擦も、米国への印象を冷え込ませている。現地報道で外交的な対立が連日伝えられ、米国は自分たちを尊重しない国、攻撃的な国だと受け止められやすくなったとの指摘もある。
地域別では、カナダ、アフリカ、オセアニア、西欧、アジアなど、ほぼ全域で減少した。中でも、全体の4分の1を占めていたカナダからの旅行者は、前年比20%減の1,467万人に落ち込んだ。
トランプ大統領がカナダを米国の51番目の州と呼ぶなど、挑発的な発言を重ねたことで反感が強まった影響とみられる。世論調査会社イプソスの調査では、カナダの回答者の60%が米国人を以前のように信頼できないと答えた。米国旅行を控えるとの回答は75%に達したという。
旅行者の減少を受け、米観光業界の警戒感も強まっている。米国旅行協会(U.S. Travel Association)は、カナダからの旅行者が10%減った場合、米国内の観光支出が21億ドル(約3,260億円)減り、約14,000人の雇用が失われる可能性があると試算した。
カナダと国境を接するバーモント州では、カナダ住所のクレジットカード利用額が半減し、宿泊業や外食産業が直撃を受けたという。
米国を代表する観光地、ネバダ州ラスベガスも例外ではない。ラスベガス観光局によると、昨年の観光客数は前年比7.5%減少した。
米議会も事態を注視している。2月には観光振興を目的とする超党派の法案が提出された。今年予定される米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の再交渉で、観光・旅行分野の専任作業部会を新設し、国境移動、ビザ、通関、共同マーケティングなどの協力を公式議題に位置づける案が盛り込まれた。














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