
北朝鮮が、金正恩総書記の有事の際に核兵器の使用権限を別の指揮機関に委任し、即時に核兵器を使用できるとの内容を憲法に明記したことが明らかになった。核兵器の使用条件や権限を憲法に明記したのは今回が初めてとされる。
テレグラフなど海外メディアが10日に伝えたところによると、北朝鮮は3月の最高人民会議第15期第1回会議で憲法第89条を改正し、「朝鮮民主主義人民共和国の核戦力に対する指揮権は国務委員長にある」と規定した。
さらに「国務委員長は国家核戦力指揮機関に対し、核戦力の使用権限を委任することができる」と明記した。北朝鮮の国務委員会は大統領府と行政府の役割を担う国政運営機関であり、金総書記は朝鮮労働党総書記と国務委員長を兼任している。
憲法第3条「核戦力に対する指揮統制」の第3項では、「国家の核戦力に対する指揮統制の体系が敵対勢力の攻撃により危険にさらされた場合、あらかじめ定められた作戦の方針に従い、挑発の起点や指揮部をはじめとする敵対勢力を壊滅するための核による攻撃が、自動的かつ即座に行われる」と定めた。
北朝鮮がこうした形で核兵器の使用条件と権限を定めたのは、金総書記ら最高指導部を標的とした、いわゆる「斬首作戦」が実行された場合でも核による反撃が可能だと示すことで、外部の脅威に対する抑止力を確保しようとする狙いがあるとみられる。
北朝鮮、イラン戦争後に警戒感を強める
一部の専門家は、今回の動きについて、1月のトランプ政権によるベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領逮捕作戦や、2月のイランのアリ・ハメネイ師暗殺などから北朝鮮が得た「教訓」との見方を示している。
北朝鮮の専門家で、国民大学のアンドレイ・ランコフ教授はニューヨーク・ポストに、「以前から同様の政策は存在していたかもしれないが、今回は憲法に明記されたことで、より強調された」と語った。そのうえで「米国とイランの戦争は北朝鮮にとって強い警告となった。北朝鮮は、米国とイスラエルの共同攻撃によってイランの指導部の大半が即座に失われるという事態を目の当たりにし、強い危機感を抱いているとみられる」と述べた。
ただ、今回の憲法改正については、北朝鮮が核指揮権を金総書記に集中させながら、金総書記不在時の核使用も可能とする相矛盾する構造を持ち込んだものだとの指摘も出ている。
一部の専門家は、北朝鮮が金総書記の有事の際にも核戦争が可能だとの懸念を外部に与えようとしているものの、核兵器を使用した瞬間に北朝鮮の体制も致命的な報復に直面する恐れがあるため、実際に核使用に踏み切るという判断は難しいとの見方を示した。
北朝鮮軍、ロシアの戦勝記念式典で初めて行進――ロ朝の強固な同盟関係を示す
一方、北朝鮮は最近、モスクワの赤の広場で開催された第2次世界大戦の戦勝記念日の軍事パレードに自国軍を派遣した。北朝鮮軍が外国の軍事パレードに参加したのは今回が初めてとなる。
朝鮮中央通信と労働新聞は10日、北朝鮮軍部隊が9日のロシア戦勝記念日の式典に参加したと伝えた。
金総書記は式典への出席は見送り、プーチン大統領に祝電を送ることで強固な同盟関係を確認した。
金総書記は祝電で「包括的な戦略的パートナーシップを最大限に重視し、変わらず発展させていくとする政府の立場を改めて確認する」と語り、「朝鮮とロシアの国家間条約に基づく義務の履行について、常に責任を持つ」と明言した。













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