
「昇進は損だ」
ある鉄道大手の課長級社員は、「責任だけが増えて報酬が追いつかず、管理職を避ける空気がある」と話す。近年、会社員の間ではこうした声が広がっている。昇進を「罰」に近いものと捉える見方も広がっている。
こうした認識を覆す狙いから、「日本航空(JAL)」は賃上げによる待遇改善に踏み切った。部長級の年収を最大で2,500万円まで引き上げる方針で、役員クラスの基本報酬に匹敵する水準となる。
日本経済新聞は27日、日本航空が2027年度までに部長級の年収を現在より約30%引き上げ、1,600万~2,500万円とする計画だと報じた。すでに2026年度からは管理職全体の賃上げにも踏み切っており、部長級で最大15%、課長級で最大10%の増額を実施している。加えて、重要プロジェクトを担う部長に対しては、月額10万円を上乗せ支給する制度も導入した。
こうした対応の背景にあるのは、管理職の担い手不足だ。少子化に伴い新規人材の供給が減少する中、企業間の採用競争は一段と激しさを増している。このため、多くの企業では初任給を含む若年層の賃金を先行して引き上げる動きが広がっている。
ただし、人件費の総額には限りがある。このため、中堅・ベテラン層の賃金は相対的に伸び悩み、場合によっては減少するケースもみられた。その結果、責任だけが増え、報酬が見合わないとの受け止めが広がり、管理職を敬遠する傾向が強まっている。
厚生労働省のデータによると、2020年から2025年にかけての賃金上昇率は、20代が約15%、30代が10~12%だったのに対し、40代は5~8%にとどまり、50代前半ではむしろ減少したという。さらに、昨年秋に「日本経済団体連合会(経団連)」が実施した調査でも、賃上げを30歳以下に重点配分した企業は23%に上った一方、45歳以上に重点を置いた企業は1%にとどまった。
こうした状況を受け、中間管理職の待遇改善に向けた動きが広がっている。報道によると、「セコム」は管理職手当を約30%引き上げ、「富国生命保険」も部長級の年収を平均で約15%増額した。さらに、「レオパレス21」も管理職の報酬上限を引き上げている。
もっとも、単なる賃上げだけでは限界があるとの指摘も少なくない。権限や役割の見直しを伴わなければ、管理職を敬遠する傾向が繰り返される可能性があるためだ。ただ、報酬の引き上げによって、「昇進は損だ」との見方がある程度和らぐ余地はありそうだ。













コメント1
何もしないおじさんの給料を上げられる会社はすごいと思うよ。