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中国便が40%蒸発…日中摩擦と中東発逆風が直撃した地方空港の惨状

有馬侑之介 アクセス  

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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日中関係の悪化の影響で、地方空港と中国を結ぶ路線の運航便数が新型コロナ前と比べて約40%減少したことが明らかになった。国内全体では訪日外国人観光客数が過去最高水準を記録している一方、中国路線への依存度が高い地方空港は、日中関係の先行き不透明感や原油価格の高騰といった逆風に直面している。

日本経済新聞が2025年の国内主要24地方空港の外国人入国者数を分析したところ、半数にあたる12空港でコロナ前の2019年水準を依然として回復できていないことが判明した。日中関係の悪化や中東情勢の緊迫化を受けた国際線の減便・運休が相次ぎ、地方空港の収益環境は一段と厳しさを増しているという。

中でも大きな打撃を受けているのが北九州空港だ。2019年当時はソウルや台北など6都市と国際定期便を運航していたが、現在は韓国路線2便のみを維持している。2025年の外国人入国者数は5万3,000人にとどまる見通しで、2019年比で6万7,000人の減少となり、空港利用者数も30%落ち込んだ。

一方、「半導体特需」に沸く熊本空港は劇的な成長を見せた。外国人入国者数は2019年比で4倍となる29万人を記録した。世界最大の半導体受託生産企業TSMCが熊本に工場を建設し本格量産を開始したことで、ビジネス需要が急増したためだ。韓国・台湾を結ぶ定期便も、コロナ前の2倍となる6路線まで拡大した。

しかし、多くの地方空港を取り巻く現実は厳しい。特に中国路線の減少が大きな痛手となっている。英国の航空データ会社OAGのデータによると、地方空港における中国路線の運航便数は2019年の6,004便から2025年には3,738便へと約40%減少したという。

背景にある最大の要因は政治的対立と先行き不透明感だ。中国政府は昨年11月、自国民に日本への渡航を当面控えるよう呼びかけた。これを受け、中国東方航空は富山・静岡・岡山など地方空港と上海を結ぶ路線を相次いで運休した。

さらに、フェイクニュースの拡散や国際情勢の不安定化も追い打ちをかけている。2025年7月に大規模地震が発生するとの根拠のない情報が香港で広まると、香港航空やグレーターベイ航空が鹿児島線・米子線を一時運休・減便した。

加えて、中東情勢の悪化による航空燃料価格の高騰も影響し、韓国のLCC(格安航空会社)エアロKなどが茨城線・帯広線の減便に踏み切っている。

日中関係の悪化で浮き彫りになった地方空港の脆弱性は、国内の観光政策が抱える課題を映し出している。中国路線への依存度が高い空港ほど、外交関係や世論の変化に左右されやすいためだ。今後は韓国、台湾、東南アジアへの路線多角化を進めるとともに、半導体関連などの産業需要と観光需要を両立させる戦略が必要だとの見方が出ている。

政府は2030年までに訪日外国人観光客を6,000万人に増やす目標を掲げている。現状からさらに約2,000万人の上積みが必要となるが、大都市圏の空港だけでは達成が難しく、地方空港を通じた観光客の分散や地域滞在型観光の拡大が不可欠とされている。

専門家らは、空港単独の取り組みだけでは外国人観光客の誘致に限界があると指摘する。地方自治体や地域経済界、観光業界が連携し、宿泊・交通・観光コンテンツを一体的に整備していく必要があるという。

航空便を復活させるだけでは不十分であり、外国人観光客が実際に足を運び消費したくなる地域の魅力づくりが欠かせない。地方空港の再生が進むかどうかは、政府が掲げる「訪日客6,000万人」目標や地域経済活性化戦略の成否を左右する重要な鍵となりそうだ。

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