トランプ関税、製造業復活にはつながらず…物価とコストだけ押し上げた

ドナルド・トランプ米大統領は、関税政策が製造業の復活をもたらしたと主張しているが、実際には雇用の減少と物価上昇を招いただけだとの指摘が出ている。
9日(現地時間)、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」によると、トランプ大統領は、トヨタがテキサス州でのトラック生産拡大を発表したことについて、自身の関税政策の成果だとして大々的にアピールした。
トヨタはサンアントニオ工場に36億ドル(約5,830億円)を投資し、第2組立ラインを新設して「タコマ」ピックアップトラックを生産し、2,000人の雇用を創出する計画だ。現在、「タコマ」はテキサス州とメキシコで生産されており、生産の一部を米国へ移すことになる。
トランプ大統領は自身のSNSに、「トヨタがメキシコから米国(テキサス州)へ移転する。本当に素晴らしい。関税が効果を発揮した」と投稿した。
しかし、WSJは、「トヨタの決定が関税によるものだとする根拠はない」とし、「トヨタは報道資料で、テキサス州の企業活動に適した環境や、先進的な製造技術による生産効率の高さを強調しただけで、トランプ大統領や関税政策には言及していない」と指摘した。
WSJは、関税の実際の効果は米国製造業の復活ではなく、雇用の減少とコスト増加だったと評価した。
米国では2025年1月以降、製造業の雇用がおよそ7万5,000人減少し、このうち自動車・部品産業だけで2万5,900人減少した。製造業の雇用減少は関税導入前から始まっていたため、すべてを関税の責任とすることはできないが、自動車業界のコスト負担を増大させたことは明らかだとの分析だ。
米政府の資料によると、トランプ政権が通商拡大法232条に基づいて導入した自動車・部品関税によって、今年4月までに352億ドル(約5兆7,020億円)、鉄鋼・アルミニウム関税によって175億ドル(約2兆8,350億円)のコストが発生した。
トランプ大統領は、外国企業が関税を負担すると主張しているが、実際には米国企業と消費者がその大半を負担しているというのが、多くの分析の結論だ。
アンダーソン・エコノミック・グループは、カナダ産とメキシコ産の自動車への関税だけでも、昨年、米国生産車の製造コストが1台当たり約1,600ドル(約25万円)増加したと推計した。また、コックス・オートモーティブが3月に公表した報告書によると、関税によって新車のメーカー希望小売価格(MSRP)は平均10.4%上昇した。輸入車は最大8,900ドル(約145万円)、米国製の車両も最大2,000ドル(約30万円)値上がりしたと分析している。
自動車メーカーは一部の普及価格帯モデルの販売を中止し、消費者は新車ではなく中古車を選ぶか、保有している車をより長く乗り続ける傾向が強まっている。今年上半期の米国の新車販売も、新型コロナウイルス禍前の水準を下回った。
さらに、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の延長を巡る不透明感も重なり、企業は投資を先送りしている。
WSJは、トランプ大統領の関税政策と度重なる通商政策の変更が米国経済の不確実性を高め、第1次政権時ほどの経済成果を上げられなかった要因の一つになったと評価した。














コメント0