一日中勉強するとお腹が空く。頭をたくさん使った分、カロリーを消費したのだろうか?だとすれば、脳を一生懸命使うだけで痩せることができるのだろうか?
人体において、脳は想像以上に多くのエネルギーを消費する。成人が一日に平均2,000カロリーを摂取すると仮定した場合、そのうち約400カロリーは脳が消費すると言われている。
この数値は、消化作用に使われるエネルギーの2倍に相当する。このように、脳は体内で特にエネルギーを多く消費する器官だが、それによって体重が著しく減るわけではない。

頭を使ってもカロリー消費は大きく増えない
ワシントン大学のマーカス教授の研究によると、高度な集中力を要する知的活動と単純なテレビ視聴とのカロリー消費量の差は、8時間換算で約5%以内だという。数値で言えばわずか100カロリー程度で、これはリンゴ一個分の熱量に相当する。集中した分だけ痩せるのでは、という期待には及ばない結果となった。
脳は常に一定のエネルギーを使う
脳が消費するエネルギーの多くは、覚醒状態の維持や周囲の状況把握、内臓機能の調整など、生きる上で欠かせない基本的な活動に使われている。私たちが何にどう没頭していても、脳はすでに一日中休むことなく働いているのだ。
勉強をすればするほどお腹が空く場合、ストレスが原因である可能性も
頭を長時間使うと、まるで糖分が不足しているかのような感覚になり、おやつが食べたくなることが多い。しかしこの現象は、実際にカロリーを消費しているというよりはストレス反応に近い。脳が疲労を感じるとストレスホルモンが増加し、炭水化物を多く含む食べ物を欲するようになる。刺激が強く甘い食べ物で空腹を満たしたくなる理由はここにある。

ダイエットには、頭より体を動かす方が効果的
痩せたいのであれば、頭を使うよりも体を動かす方がはるかに効果的だ。集中したり思考活動をすることがエネルギー消費に繋がるのは事実だが、その消費量は、体重減少に影響を与えるほど大きくない。バランスの取れた食事と有酸素運動、筋力トレーニングを併用することで、脳の健康にも体重減少にも良い効果が見られるだろう。