所得が高く専門職ほどAIの利用が多い…不平等の拡大に警告

人工知能(AI)が業務現場に急速に普及している一方、その恩恵が高所得・専門職の労働者に集中し、社会的な不平等が拡大する可能性があるとの警告が出ている。
23日(現地時間) フィナンシャル・タイムズ(FT)は調査会社のフォーカルデータ(FocalData)と共同で「AI労働市場トラッカー」を発表した。
アメリカとイギリスの労働者4,000人を対象に実施された今回の調査によると、所得水準によるAI活用の格差が顕著に表れた。高所得者の6割以上が毎日AIを使用しているのに対し、低所得層では16%にとどまった。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のダロン・アセモグル教授は、「AIが民主化をもたらすとの見方もあるが、実際の活用には一定水準の教育や抽象的・数理的能力、コンピュータやコーディングへの理解が必要だ」とし、「AIは労働と資本の間の不平等を拡大させる可能性が高い」と指摘した。
特に、AIを最も積極的に活用しているのが「デジタルネイティブ」とされる20代ではなく、専門性と経験を備えた30代である点も注目される。これは、AIが基礎知識のない状態での代替手段ではなく、既存の専門性を補完・強化するツールとして活用されていることを示唆している。
実際の調査でも弁護士・会計士・ソフトウェア開発者などのホワイトカラー専門職でAI活用度が最も高いことが明らかになった。
FTは「賃金と教育水準、AI活用の間に強い相関があることは、上位労働者の生産性を高める一方、下位労働者には必ずしも当てはまらず、所得格差の拡大を招く可能性がある」と分析した。
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのクリストファー・ピサリデス教授は、「技術が高度化するほど個人の知的能力の重要性は増す」とし、「単純な技術の段階ではIQはそれほど重要ではなかったが、現在ではますます大きな影響を持つようになった」と述べた。
経済史学者のカール・ベネディクト・フレイ教授は、個人用コンピューターの普及初期にも同様の格差があったが、時間の経過とともに緩和されたと説明した。ただし、「格差の解消までに10~20年を要する場合、社会的負担は大きくなり得る」と警告した。
男女間の格差も確認された。女性は男性に比べてAIを利用する可能性が約20%低いことが明らかになったが、その理由は明確ではない。
FTは、こうした傾向が「キャリア・ピラミッド」の下層を脅かしていると指摘している。従来は新入社員が現場で先輩から学びながら担っていた基礎業務を、現在ではAIを活用する熟練人材が直接処理するようになっており、新入人材が経験を積む機会自体が失われつつあるためだ。
オープンAIのチーフ・エコノミストであるロニー・チャタジー氏は、「教育制度に立ち返り、人々が専門性と批判的思考力を身につけられる仕組みを検討すべきだ」とし、「AIを代替手段として思考を機械に委ねるのではなく、深い専門性を育む必要がある」と強調した。













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