
米国とイランが14日、終戦に向けた了解覚書(MOU)締結に合意したことで、今年2月28日の開戦後にイランが封鎖していた中東産原油の主要輸送路・ホルムズ海峡の開放と安定化にも明るい見通しが出ている。世界の原油輸送量の約20%を担うこの海峡が再び開かれれば、原油価格の安定など世界経済への好影響が期待される。とりわけ、原油と液化天然ガス(LNG)の供給を中東に依存してきた日本・韓国・中国・台湾などアジア各国のエネルギー調達にとっては、エネルギー確保に余裕が生まれる見込みだ。
開戦後にこの海域で足止めされている韓国船舶24隻(船員137名)のほか、各国の民間タンカー・商船など約2400隻も、順次海峡を通過できる見通しだ。
ただ、「通行料なしの完全開放」を求める米国と、「通行料徴収への反対は主権侵害だ」と主張するイランの対立は依然解消されていない。両者が60日間の休戦期間中に妥協点を見出せなければ、イランが再封鎖に踏み切る可能性も排除できない状況だ。
2,400隻が通過するには早くても2週間以上

米国のドナルド・トランプ大統領は14日、「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、19日にスイスでのMOU署名が完了した瞬間、ホルムズ海峡が即座に開放されると表明した。「原油が中東と世界のために双方向に再び流れることになる」とも自信を見せた。米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のインタビューでも「ホルムズ海峡の通行料永久免除が保証される」と改めて強調している。
イラン革命防衛隊は今回の戦争中、海峡を通過しようとする各国の民間船舶を攻撃し、機雷を敷設した。親イラン国の船舶が通過する際も1隻あたり150万ドル(約2億4,000万円)前後の通行料を徴収していた。こうした状況を受け、米国も今年4月13日から海峡の「逆封鎖」に乗り出し、世界のエネルギー物流に深刻な打撃を与えた。
両者がMOU締結で合意したことで、ひとまず原油とLNGの輸送再開への道は開かれた形だ。輸出路の遮断により生産量を絞っていたサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタールなど湾岸主要国も、増産に転じる見通しだ。
ただし、エネルギー物流の供給網が開戦前の水準に回復するまでには相当の時間を要する可能性がある。最大の懸念材料は機雷だ。イランが海峡に敷設した機雷は固定式ではなく浮遊式であり、イラン自身も正確な位置と数を把握していないとされている。掃海作業には長期間を要することが予想される。
開戦前の時点でも1日あたりの最大通航可能数は約130隻にとどまっていたため、現在海峡に閉じ込められている約2,400隻がすべて通過するには最低でも2週間以上かかる見込みだ。イランが自国の主張する「安全水域」のみに航路を限定した場合、さらに時間が延びる恐れもある。
安全への不安が高まる中、各国の船員が航行に消極的になる可能性もある。国際海事機関(IMO)や海上労働条約、国内の船員法などによれば、船員は戦争・高リスク地域での下船と本国送還を求める権利を有する。船員が相次いで下船を選び、法定の最低乗組員数を満たせなくなれば、出港自体が困難になるケースも想定される。
ホルムズ海峡で4隻が足止めされている韓国海運大手HMMは、「公式な海峡開放計画がまだ示されていないため、具体的な運航計画を立てられる段階にない」としたうえで、「状況を注視している」と明らかにした。

イラン、通行料徴収の姿勢を崩さず

米国との交渉が難航した場合、イランがホルムズ海峡の再封鎖に乗り出す可能性も否定できない。15日のイラン国営ファルス通信によれば、イランは米国とのMOUに「米国がイランの通行料徴収権を明確に認めることを意味する」という内容が盛り込まれていると主張している。さらに、海峡を通過する船舶への無償通航を認めるのは休戦交渉が進む60日間に限るとも明言した。
革命防衛隊と関係が深いイランの半官営メディア「タスニム通信」も「イランはあらゆる手段でこの海峡への主権を行使する」と述べ、通行料徴収の意向を重ねて強調した。
イラン議会の国家安全保障・外交委員会は今年4月、船舶の通行許可や航路指定、通行料徴収などを盛り込んだ「ホルムズ海峡に対するイランの主権確立法」草案を承認している。戦争を通じてこの海峡を実効支配し、多額の収益を得てきたとみられる革命防衛隊が、その管理権を容易に手放すかどうかは見通せない。今回の戦争でホルムズ海峡支配の影響力を再確認したイラン当局が、今後も海峡への統制を強化する方策を模索し続けるとの見方も根強い。
















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